交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

マーラー 交響曲第2番「復活」

さて、今回からはマーラーという作曲家の交響曲を扱っていきます。第1番はすでにお話しましたので、第2番についてお話します。

 

「復活」(Auferstehung)というタイトルが付されるのが一般的ですが、これは第5楽章で歌われるフリードリヒ・クロプシュトックの歌詞による賛歌「復活」(マーラー加筆)からとられたもので、マーラーがこの題名を正式に用いたことはありません。

1888年から1894年にかけて作曲された。オルガンやバンダ(舞台外の楽隊)を含む大編成の管弦楽に加え、第4楽章と第5楽章に声楽を導入していて、立体的かつスペクタクル的な効果を発揮します。このため、純粋に演奏上の指示とは別に、別働隊の配置場所や独唱者をいつの時点でステージに招き入れるか、合唱隊をいつ起立させるかなどの演出的な要素についても指揮者の考え方が問われます。

第4楽章では、マーラーが1892年に完成した歌曲集『子供の不思議な角笛』の歌詞を採用しています。つづく交響曲第3番、交響曲第4番でも『子供の不思議な角笛』の歌詞を使っていることから、これらを「角笛」3部作として括ることがあります。

なんと、演奏時間は約80分!!!

 

第1楽章 アレグロ・マエストーソ まじめで荘厳な表現で一貫して

ソナタ形式。弦のトレモロの上に、低弦が荒々しい第1主題を出します。葬送行進曲風に進行し、徐々に熱気を帯びて金管やシンバルを加えて発展します。経過句の後、第2主題がホ短調でヴァイオリンで提示されます。憧憬に満ちた祈るような順次上行が特徴的ですが、第1主題に遮られ小結尾に入ります。ホルンと低弦による3連符を含む特徴的なリズムを経て、金管がコラール風の主題を奏して第1主題と絡めて発展します。ホルンと木管が残り、葬送行進曲風の曲想に戻り、ハープが残って提示部が閉じられます。

展開部は大きく2つに分かれ、前半はヴァイオリンが美しく第2主題を奏でて開始されます。始まって小結尾やリズム動機を扱います。再び第2主題がフルートやヴァイオリン・ソロに現れると安らかになって静まります。それが第1主題の動機により打ち破られるところから後半に入ります。ここでは主に第1主題を扱います。ホルンにコーラル風な旋律が現れるが、これは終楽章で重要な役割を果たすことになります。小結尾の動機で叩きつけるようにクライマックスを築いて展開部が閉められます。

再現部はほぼ型どおりだが、オーケストレーションや進行は変えられています。第1主題は発展が省略されて経過句に遮られ、そのまま第2主題が続いて消え入るように再現部が終わります。コーダは小結尾の葬送行進曲で暗鬱に静まっていきますが、トランペットが半音下降して長和音から短和音に移行(後の交響曲第6番のモットーに通じる)し、最後は半音階的に崩れ落ちるように終わります。

この第1楽章では拍子変更が全くなく、4/4拍子で貫かれています。

 

第2楽章 アンダンテ・モデラート きわめてくつろいで、急がずに ABABAの形式

主部は弦による舞曲風な主題で、落ち着いた表情と伸びやかな雰囲気を持ちます。中間部は3連符の弦の刻みに乗って管楽器が歌います。ロ長調ですが短調に傾いています。2回目の主部はチェロのおおらかな対旋律が加えられており、中間部の再現はオーケストレーションが厚くなっているなど、単純な繰り返しが避けられています。最後の主部の再現では、弦楽器のピチカートとなります。

 

第3楽章 スケルツォ 静かに流れるような動きで 三部形式

主部はティンパニの強打につづいて、ヴァイオリンがなめらかに上下する主題を提出します。中間部では、低弦が歯切れのよいリズムを刻み、管楽器が快活な主題を演奏します。主部の再現はより自由に進行します。結尾では、中間部の主題が現れ、爆発的に盛り上がったところで終楽章を予告します。

子供の不思議な角笛』の歌曲「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」と同じ材料で作曲されており、両者は双生児のような関係にあります。

また、中間部の主題は、ウィーン音楽院でのマーラーの親友で、近年再評価が進んでいるハンス・ロットの交響曲第1番第3楽章の第1主題からの引用の可能性が指摘されています。

 

第4楽章 「原光(Urlicht)」 きわめて荘重に、しかし素朴に 三部形式

子供の不思議な角笛』の第7曲「原光」(Urlicht)からとられました。 「赤い小さな薔薇よ "O Rös- chen rot!"」とアルト独唱が歌います。舞台外の金管がコラール風の間奏を添えます。 中間部で転調し、独唱にヴァイオリン・ソロ、木管が絡みます。 

 

第5楽章 スケルツォのテンポで、荒野を進むように 拡大されたソナタ形式

休憩時間を除けば、演奏時間にして全体の4割以上も要する長大なフィナーレで、マーラー流に拡大されたソナタ形式で構成されています。第4楽章が終わるとそのまま開始され、管弦楽の強烈な響きのなかで、金管が叫ぶような第1主題を出します。 最弱音のホルンがハ短調で明るい動機を示し、 ホルンの「呼び声」のような動機がこだまします。 

第2主題は「第2主題部」ともいえるもので、前半に木管がコラール(ベースはグレゴリオ聖歌の「怒りの日」)を出します。これは第1楽章ですでに示されていたものです。後半はトロンボーン、さらにトランペットが引き継ぎますが、これが「復活」の動機と考えられています。

しばし音楽は穏やかになりますが、ヴァイオリンのトレモロの上に、フルートとイングリッシュ・ホルンが不安げな動機を示します。後半ではこれがアルト・ソロ「おお、信じよ "O Glaube"」の歌い出しとなります。コラールと「復活」動機、不安げな動機が繰り返され、切迫します。

展開部は、第1主題の叫びで開始されます。コラール主題が加わってきて行進曲調となり、マーラーの言う「死者の行進」が示されます。頂点で急激に静まると、不安げな動機が金管に出て、トランペットのファンファーレ的な音型を繰り返しながら今度はストレッタ的に急迫していきます。第1主題がすべてを圧するかのように出てきますと、再現部に入ったことになります。

第1主題につづいて、提示部より半音高い穏やかな変二長調となり、出るホルン動機は、チェロの柔らかい音型に変奏されています。静まった後、やはりそのまま提示部より半音高いホルンの呼び声が舞台外にこだましていくと、フルートとピッコロが夜鶯を表します。呼び声とトランペットのファンファーレが交わされます。オーケストラが沈黙したところで異名同音同主調変ト長調となり、合唱がクロプシュトックの「復活」賛歌を神秘的に歌い始め、そこからソプラノのソロが浮かび上がります。

オーケストラはホルン動機に基づく間奏で応え、合唱、さらにオーケストラとなります。トランペットがホルン動機の完全な姿を示します。変ロ短調でアルト・ソロが「おお、信じよ "O Glaube"」と歌い始め、 男声合唱が「復活」動機を劇的に示します。2/2拍子となりソプラノ・ソロおよびアルト・ソロの二重唱となります。ここでは第4楽章の後半の動機も扱い、高まっていきます。変ホ長調に到達し、合唱がホルン動機を繰り返して高揚したの後、「復活する"Aufersteh'n"」の言葉でPesante. 4/4拍子となりオルガンが登場。ヴァイオリンやヴィオラなどと一緒に、「復活」を壮大に歌い上げる。管弦楽のみの後奏で再び2/2拍子に変化して、ホルン動機に基づく管弦楽の崇高な響きで全曲を締めくくります。

なお、第3楽章から第5楽章までは切れ目なく演奏される。

 

なんか、文章だけ見ているとすごいことになっている曲であることはお分かりになるかと思います。そう、それまでの音楽の集大成となっているのがマーラー交響曲なんです。よって、第1番から第9番まで書いていますが、どれをとっても魅力のある交響曲に出来上がっています。ただし!ただしですよ。どの曲も長い!2、3、6、7、8、9番(ってほとんどかよ!)ってCD2枚で1曲なんですよね。ただし、ハマルと抜け出せなくなるほどの魅力があります(自分も抜け出せません)。

それと後にマーラー自身が全曲について標題的な説明を残していますので追記します。

  • 第1楽章 私の第1交響曲での英雄を墓に横たえ、その生涯を曇りのない鏡で、いわば高められた位置から映すのである。同時に、この楽章は、大きな問題を表明している。すなわち、いかなる目的のために汝は生まれてきたかということである。……この解答を私は終楽章で与える。
  • 第2楽章 過去の回想……英雄の過ぎ去った生涯からの純粋で汚れのない太陽の光線。
  • 第3楽章 前の楽章の物足りないような夢から覚め、再び生活の喧噪のなかに戻ると、人生の絶え間ない流れが恐ろしさをもって君たちに迫ってくることがよくある。それは、ちょうど君たちが外部の暗いところから音楽が聴き取れなくなるような距離で眺めたときの、明るく照らされた舞踏場の踊り手たちが揺れ動くのにも似ている。人生は無感覚で君たちの前に現れ、君たちが嫌悪の叫び声を上げて起きあがることのよくある悪夢にも似ている……。
  • 第4楽章 単純な信仰の壮快な次のような歌が聞こえてくる。私は神のようになり、神の元へと戻ってゆくであろう。
  • 第5楽章 荒野に次のような声が響いてくる。あらゆる人生の終末はきた。……最後の審判の日が近づいている。大地は震え、墓は開き、死者が立ち上がり、行進は永久に進んでゆく。この地上の権力者もつまらぬ者も-王も乞食も-進んでゆく。偉大なる声が響いてくる。啓示のトランペットが叫ぶ。そして恐ろしい静寂のまっただ中で、地上の生活の最後のおののく姿を示すかのように、夜鶯を遠くの方で聴く。柔らかに、聖者たちと天上の者たちの合唱が次のように歌う。「復活せよ。復活せよ。汝許されるであろう。」そして、神の栄光が現れる。不思議な柔和な光がわれわれの心の奥底に透徹してくる。……すべてが黙し、幸福である。そして、見よ。そこにはなんの裁判もなく、罪ある人も正しい人も、権力も卑屈もなく、罰も報いもない。……愛の万能の感情がわれわれを至福なものへと浄化する。

さて、マーラーの第2番を「かずメーター」で評価しました。

第一楽章 94点

第二楽章 91点

第三楽章 89点

第四楽章 90点

第五楽章 97点

個人的には、ベートーヴェンの第9よりこの曲を年末には聞いています。

特に第五楽章は強烈な印象をみなさんに与えてくれると思います。

love-classical-musics.hatenablog.com

 

youtubeは私のマーラーBEST指揮者だと思っているClaudio Abbadoさん指揮の画像にしてみました。ぜひご覧ください。

www.youtube.com

お勧めのCDです。