交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第11~14番

さて、今回からハイドン交響曲についてお話していきます。

ハイドンって「交響曲の父」といわれるだけあって106曲もの交響曲を書いています。前回、1~10番を取り上げましたが、まだ初歩的なものでお勧めできないかなぁと思いました。

さて、11番以降はどうでしょうか。

 

交響曲第11番変ホ長調 Hob.I:11は、ハイドン交響曲で、初期の交響曲のひとつであり、自筆楽譜は残っていませんが、フュルンベルク・コレクションに信頼性の高い筆写譜が残っていることから、エステルハージ家以前、ボヘミアのモルツィン伯爵に仕えていた時期(1757年-1760年ごろ)の作品と考えられています。フュルンベルク・コレクションのホルンのパート譜にはハイドン本人による訂正の跡が見られます。

緩徐楽章ではじまる4楽章からなる、教会ソナタ風の作品です。ハイドンは主に初期に同様の構成を持つ交響曲をいくつか書いています(5番、18番(3楽章)、21番、22番、34番、49番)。

第1楽章 Adagio cantabile
2⁄4拍子、ソナタ形式。弦楽器とホルンのみで演奏されますが、ホルンの出番は少ないです。低音の伴奏に乗って、ゆったりした主題がまず第2ヴァイオリンにまず現れ、第1ヴァイオリンが四度上で応答します。全体に交響曲第18番の第1楽章と同様、トリオ・ソナタ風に書かれています。第2主題は変ロ長調で、第2ヴァイオリンの三連符の伴奏に乗って第1ヴァイオリンに現れます。再現部の前半は短く切りつめられ、すぐに第2主題が登場します。

第2楽章 Allegro
2⁄2拍子、ソナタ形式交響曲第13番の最終楽章と同じく、いわゆる「ジュピター交響曲」の最終楽章の動機に似た主題を持ちます(ただし1音増えて5音になっている)。対位法的な進行が多く見られます。

第3楽章 Minuet - Trio
メヌエット主部は付点つきリズム、三連符、トリルなどを使った、はずんだ音楽です。トリオは変ロ長調で、弦楽器のみが使用されます。後半ではいったん変ロ短調に転調します。

第4楽章 Finale: Presto
2⁄4拍子、ソナタ形式。第2ヴァイオリンのトレモロに乗って、第1ヴァイオリンによるシンコペーションのリズムを持つ主題が出現します。

 

交響曲第12番ホ長調 Hob.I:12は、ハイドンが1763年に作曲した交響曲です。ホ長調交響曲は珍しく、ハイドン交響曲の中では本曲以外には交響曲第29番のみです。

本曲、交響曲第13番、交響曲第40番の3曲は、自筆譜に記された日付から1763年に作曲されたことが判明しています。

初期の交響曲に多い急-緩-急の3楽章形式です。作曲年のわかっている交響曲のうち、メヌエットがないのはこの曲で最後です(交響曲第26番、交響曲第30番も3楽章だが、メヌエットで終わります)。

第1楽章 Allegro
2⁄2拍子、ソナタ形式。弦楽器によるおだやかな主題にはじまります。

第2楽章 Adagio
ホ短調、6⁄8拍子、ソナタ形式。当時のハイドンの他の交響曲と同様、緩徐楽章は弦楽器のみによって演奏されます。シチリアーナ風のリズムを持つ旋律が第1ヴァイオリンに出現しますが、途中でフォルテのユニゾンによってしばしば中断されます。提示部は途中でロ短調に転調しますが、これはハイドンの普通のやり方(長調になる)とは異なっています。

第3楽章 Finale: Presto
2⁄4拍子、ソナタ形式。主題は上昇分散和音によります。

 

交響曲第13番ニ長調 Hob.I:13は、ハイドンが1763年に作曲した交響曲です。4本のホルンとフルートを使用し、独奏楽器による協奏曲的な楽章が含まれる点で交響曲第31番「ホルン信号」と共通しますが、規模はより小さく、ホルンが旋律を演奏することはまれです。

第1楽章 Allegro molto
4⁄4拍子、ソナタ形式。弦楽器によるアルペジオ風のフレーズがユニゾンで始まり、管楽器は厚い和音を伸ばします。展開部では短調に転じます。再現部では突然ホルンが主題を演奏する場所があります。

第2楽章 Adagio cantabile
ト長調、4⁄4拍子、ソナタ形式。当時の他の多くの交響曲と同様に弦楽器のみで緩徐楽章は演奏されます。独奏チェロがたっぷりした歌うようなメロディを演奏し、他の弦楽は伴奏に徹します。

第3楽章 Menuet - Trio
メヌエット主部の主題は下降分散和音によるものです。トリオはト長調に転じ、フルートと弦楽器のみによるものです。フルート独奏によって別のリズムをもつ分散和音ではじまる旋律が演奏されます。

第4楽章 Finale: Allegro molto
4⁄4拍子、ソナタ形式。4つの音の動機に支配されます。この動機は定旋律であり、後のモーツァルトのジュピター交響曲のフィナーレと同一です。この動機はさまざまな調で楽章全体で現れて、フーガ風な扱いを受けます。終わり近くでは弦楽器によってストレットのように演奏されます。

 

交響曲第14番イ長調 Hob.I:14は、ハイドン交響曲ハイドン初期の交響曲のひとつで、1764年の筆写譜がゲットヴァイク修道院(英語版)にありますが、正確な作曲年代は明らかではありません。ランドンは1761年-1763年ごろの作曲かとしました。ウェブスターも独奏楽器が協奏曲的に扱われていることからエステルハージ家の副楽長時代の作品の可能性が高いとしています。

第1楽章 Allegro molto
3⁄4拍子、ソナタ形式。第1主題はオクターブ下降から同音を連続させます。対照的に抒情的な第2主題はヴァイオリンだけで小さく始まります(第2ヴァイオリンは第1ヴァイオリンから1小節おくれる)。ごく短い展開部は第2主題によります。

第2楽章 Andante
ニ長調、2⁄4拍子、二部形式。当時のハイドンの他の多くの交響曲と同様、緩徐楽章は弦楽器のみとなりますが、ヴァイオリンによる旋律を独奏チェロがオクターブ下で重ね、ヴィオラと低音楽器がスタッカートの伴奏を演奏します。交響曲第16番の緩徐楽章に同じ形式が見られます。

第3楽章 Menuetto - Trio: Allegretto
メヌエット主部は8分音符を主体にしたなめらかな音楽で、後半のホルンの旋律が目立ちます。

トリオはイ短調で、オーボエ独奏が旋律を演奏し、ヴァイオリンと低音楽器が伴奏すします。

第4楽章 Finale: Allegro
6⁄8拍子、ソナタ形式。主題は第1ヴァイオリン単なる下降音階で、それを第2ヴァイオリンがシンコペーションのきいた音符で修飾しますが、同じ主題が異なる高さで次々に出現し、フーガのように聞こえます。全体として非常に対位法的な音楽になっています。

 

さて、かずメーターですが、

第11番 83点

第12番 79点

第13番 80点

第14番 82点

10番までと比べると雲泥の差だと思いますよ。十分楽しめる曲に仕上がっています。

前の更新がショスタコーヴィチだったので迫力は違えど聴きやすさはハイドンの方が上です。4曲の中では11番が一番よかったです。

こうハイドンを聞きなおしてみるとモーツァルトよりもシンプルでかつ聴きやすいのではないかと思います(モーツァルトがガチャガチャしすぎる感じがします)。

なお、私はアダムフィッシャー指揮アウストロ・ハンガリーハイドン管弦楽団の全集を聴いてお話させていただきます。

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