ハイドン 交響曲第98、99番
さて、今回はハイドンの交響曲第98、99番についてお話します。
ついにハイドン2桁の旅は終わります…
第98番
交響曲第98番変ロ長調 Hob.I:98は、1792年に作曲した4楽章からなる交響曲で、第1期ロンドン交響曲の中の1曲です。同年の3月2日にハノーヴァー・スクエア・ルームズにおいてザロモンの演奏会で初演されました。
自筆譜はかつてベートーヴェンが所有しており、その後ベルリンのプロイセン国立図書館が所蔵していましたが、第二次世界大戦後は長らく行方不明でした。現在はヤギェウォ大学図書館が所蔵しています。
第1楽章 Adagio - Allegro
序奏は2⁄2拍子で、弦楽器のみで演奏されます。短調ではじまりますが、主部の第1主題が使われているところに特徴があります。
主部はアレグロになるがそのまま2⁄2拍子で始まります。提示部終わりあたりにオーボエによって神秘的な4つの2分音符による主題が出現します。展開部は対位法的です。
第2楽章 Adagio
ヘ長調、3⁄4拍子、ソナタ形式。トランペットとティンパニは休み。主題が英国国歌である『国王陛下万歳』に似ているとも言われていますが、モーツァルトの『戴冠式ミサ』(K.317、1779年)のアニュス・デイとも共通しています。また、交響曲第41番「ジュピター」(K551、1788年)の第2楽章とも共通したところがあります。ドナルド・フランシス・トーヴィーによれば、親友であるモーツァルトが作曲の前年である1791年2月に亡くなったことに対する哀悼の意が込められているとのことでした。なお、同じ主題をハイドンは『ハルモニー・ミサ』(Hob.XXII:14、1802年)のアニュス・デイにも使用しています。
短調で激しく盛り上がった後に最初の主題が再現されたとき、チェロ独奏による対旋律が加えられます。
第3楽章 Menuetto: Allegro - Trio
華やかなメヌエット主部では途中でフルート独奏を聞くことができます。トリオではファゴットと第1ヴァイオリンに旋律が現れ、途中でファゴットがフルートと交替します。
第4楽章 Finale: Presto
6⁄8拍子、ソナタ形式。展開部は弦楽器のみになり、ヴァイオリン独奏による終結主題が変イ長調で演奏され、全奏と交替します(初演ではおそらくザロモン本人によって演奏されたようです)。それが終わると再現部にはいりますが、それについで突然速度がモデラートに変わった後、最初の速度にもどって全奏で長いコーダが演奏されます。その後にさらに11小節のチェンバロの独奏が加えられた後、本物の終結に至ります。
第99番
交響曲第99番変ホ長調 Hob.I:99は、1793年にウィーンで作曲した4楽章からなる交響曲です。ロンドン交響曲のうちの1曲で、初演は翌1794年2月10日にロンドンのハノーヴァー・スクエア・ルームズにおけるザロモン演奏会で行われました。演奏時間は約30分。
第1楽章 序奏部 Adagio
変ホ長調 2/2拍子 - 主部 Vivace assai 変ホ長調 4/4拍子
序奏付きソナタ形式
第2楽章 Adagio
ト長調 3/4拍子
ソナタ形式。途中に木管楽器だけの印象的な楽句があります。
第3楽章 Menuet. Allegretto
第4楽章 Finale. Vivace
さて、かずメーターですが、
第98番 第一楽章 84点
第二楽章 82点
第三楽章 81点
第四楽章 83点
第99番 第一楽章 85点
第二楽章 83点
第三楽章 83点
第四楽章 84点
第98番は第一楽章がぴか一です。とてもいい曲だと思います。一方、第二・三楽章が少々緩慢で少し飽きが来るかもしれません。そしてまた元気の良い第四楽章で〆となります。
第99番ですが、第一楽章は比較的落ち着いている感じの弦楽のきれいな曲です。
第二・三楽章は飽きがこない曲風で最後に第四楽章がとても良い曲でなのでトータルで満足度の高い曲だと思います。
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