交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第94、95番

さて、今回はハイドン交響曲第94、95番についてお話します。

 

第94番

交響曲第94番ト長調 Hob.I:94は、ハイドンが作曲した交響曲の一つで「驚愕」の愛称で知られています。

ハイドンが長年楽長として仕えてきたエステルハージ侯の死去に伴って同候家を去ることになってから2度にわたって経験したロンドン旅行の1回目の滞在期間中にあたる1791年に作曲されています。

2度にわたるロンドン滞在で書き上げた「ロンドン交響曲(ザロモン・セット)」のうちの1曲に数えられると共に、ハイドンが遺した全作品の中でも最も有名な作品の一つにも数えられます。

ロンドン滞在1回目の期間中にあたる1792年3月23日に初演されています。

ハンガリー系貴族のニコラウス・エステルハージ侯爵に長らく仕え、同候家お抱えの楽団の楽長として食卓向けの音楽を作るなど創作活動を行ってきたハイドンでしたが、1790年にニコラウス・エステルハージ侯爵が死去することで転機を迎えることとなりました。その後を継いだアントン・エステルハージ侯爵は父親の音楽愛好を受け継がずに同候家お抱えの楽団を解散してしまい、この結果として肩書きだけの楽長と化したハイドンは同候家を去り、自由な立場の音楽家としてウィーンに赴むきます。

そのウィーンでは、ハイドンの噂を聞きつけて赴いてきたボン出身のヴァイオリニストで興行主としても知られるヨハン・ペーター・ザーロモンと出会いました。ハイドンはそこでザーロモンから、ロンドンに渡ってザーロモン自身が主催する演奏会のため作曲して欲しい、との依頼を受けました。破格の待遇内容も併せて提示されたハイドンはザロモンからの依頼を引き受け、1791年から92年にかけて、および1794年から95年にかけての2度にわたってロンドンに渡航・滞在し、のちに「ザロモン・セット(ロンドン交響曲)」と総称されることになる計12曲の交響曲を書き上げることとなりました。当楽曲もこれら全12曲の交響曲に包含されるものの一つとして、ロンドン旅行1回目の滞在期間初年にあたる1791年に作曲され、翌1792年3月にロンドンに於いて初演されるに至ります。

当楽曲に付与されている「驚愕」という愛称は、第2楽章冒頭の主題が最弱音にて2度繰り返し演奏された後の16小節目に於いてティンパニを伴ったトゥッティで不意打ちを食らわせるが如くに強く演奏するところから名付けられたもので、作曲者自身が命名したのでは無く、初演から間もなくして初演地の地元・ロンドンで発行された新聞紙上に掲載された演奏評に由来します。

こうした作曲の仕方を採った背景として、ハイドン自身が1度目のロンドン滞在中に目の当たりにした聴衆のマナーの悪さがあったとされています。当時、聴衆の中に居眠りをする者が少なからず存在していました。このことに癪に障る思いを抱いていたハイドンは、持ち前のユーモアさなどを活かし、当楽曲の作曲を通じて聴衆をたたき起こそうと行動を起こしたのです。そして実際の演奏の場で、前記第2楽章の強奏箇所のところでハイドンティンパニ奏者に対し力一杯叩くよう指示、果たして狙い通りに聴衆がビックリして飛び上がったといいます。

もっとも、このことに関しては、音楽ジャーナリストの飯尾洋一さんが、主題を最弱音で一通り演奏した後に唐突な強奏をすることで驚かせるという趣向自体は使い古されたジョークであり、むしろ最弱音で演奏される主題こそが、茶目っ気がそのまま音になって表現されているかのようで可笑しい、という考え方を示しています。

なお、愛称の「驚愕」自体に関して、英語表記では「The Surprise」と表される一方、ドイツ語表記では「Mit dem Paukenschlag」と表されます。直訳すると”ティンパニの打奏を伴った”となります。

 

第1楽章 Adagio - Vivace assai

ト長調、3/4拍子の序奏と6/8拍子のソナタ形式(提示部反復指定あり)の主部からなります。

第2主題は旋律的性格が薄いもので、シンコペーションによるリズムに走句風のパッセージが乗る形をとります。コデッタ主題は対位法的楽想によるものです。

第2楽章 Andante

ハ長調、2/4拍子、変奏曲形式(主題と4つの変奏)。

有名な主要主題がピアニッシモで反復されると全合奏で「驚愕音」が鳴らされます。第2変奏はハ短調で、後半はフォルテで劇的に進行します。第3変奏はオーボエやフルートの木管がメインになります。第4変奏ではクライマックスが築かれ、コーダではオーボエファゴットが主題を奏でて静かに曲が終わります。

第3楽章 Menuetto. Allegro molto

ト長調、3/4拍子、3部形式。

ハイドンメヌエットとしては最も速いテンポ表記が与えられています。

第4楽章 Finale. Allegro di molto

ト長調、2/4拍子、ロンドソナタ形式

第2主題は軽やかなリズムに乗って奏され、コデッタはやはりフォルテフレーズです。展開部は第1主題で始まり、転調を繰り返して劇的に進行します。再び第1主題が現れると再現部。ト短調に転じた後、第2主題の再現も型どおりに続き、第1主題の動機に基づく短いコーダへなだれ込んでいきます。

 

第95番

交響曲第95番ハ短調 Hob.I:95は、1791年に第1回ロンドン旅行の折りのために作曲した4楽章からなる交響曲で、いわゆる「ロンドン交響曲」の1つです。この連作の中では唯一の短調作品であり、また唯一、開始楽章が緩やかな序奏なしに開始します。「ロンドン交響曲」の中で比較的目立たない作品でありながら、メヌエット楽章のトリオ(中間部)にチェロの独奏パートが置かれているなど、細部にハイドンの創意が仕込まれた作品となっています。

 

第1楽章 Allegro moderato
ハ短調 2/2拍子 ソナタ形式(提示部反復指定あり)
序奏のないソナタ形式です。第一主題の冒頭にある特徴的な5音の動機は、楽章全体を通じて繰り返し使用されます。

再現部は提示部との差が大きく、第一主題の再現が前半と後半に分かれて行われるほか、第二主題の再現の2回目にはヴァイオリン独奏の伴奏が登場し、後の楽章におけるチェロ独奏の活躍を暗示させます。

なお、この曲では展開部・再現部の繰り返しは行われません(この頃のソナタ形式では、提示部を繰り返して演奏するのに加え、展開部・再現部も繰り返して演奏することが多かったようです)。

第2楽章 Andante cantabile
変ホ長調 6/8拍子 変奏曲形式、主題と3つの変奏、コーダから成ります。主題は前半・後半共に繰り返して提示されます。
第1変奏は、チェロの独奏とヴァイオリンが対話するように進行します。第2変奏は短調に転じ、自由な展開を見せます。第3変奏では原型に戻りますが、細かい弦楽器の動きが装飾します。

コーダでは主題の旋律を原型どおりに、和声だけを変えて再現した後、次楽章の主題を予感させるような動機で締めくくります。

第3楽章 Menuetto
ハ短調 3/4拍子 複合三部形式
メヌエットとトリオからなります。メヌエット部分の後半で丸2小節分の休符を挟んでいるのが特徴的です。

一方、トリオではチェロの独奏が全面にわたって活躍します。

第4楽章 Finale. Vivace
ハ長調 2/2拍子 ソナタ形式を基調とした自由な形式。
第1主題部では主題が前半・後半共に繰り返して提示されます。経過部では第1主題に基づきながら、フーガが展開され、自由な経過句が現れたりして比較的自由な展開を見せます。この経過句は第2主題としての要素は薄く、この楽章はどちらかというと単一主題的です。再びフーガが現れ、短い展開部に入ります。再現部はほぼ忠実ではあるが、主題の繰り返しは行われません。それからコーダに入り、主題が様々な展開を見せて曲を閉じます。

 

さて、かずメーターですが、

第94番 83点

第95番 82点

説明にもありますが、多分94番の第2楽章は必ず耳にしたことがある曲だと思います。だからと言って他の部分も楽しいと思うとちょっと満足できないんですね。なんか全体的に盛り上がりに欠け、音楽的には興味深い曲であるのですが、単純に音楽を聴くとなると他の90番台に比べて楽しいとは感じませんでした。

第95番なんですが、やはり短調の曲ということで、出だしからぐっと引っ張り上げる感じの曲ではないんですね。よって聞く人によっては退屈と感じてしまうと思います。

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