交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第28~31番

さて、今回はハイドン交響曲第28~31番についてお話します。

 

最初に、

交響曲第28番イ長調 Hob.I:28は、ハイドンが1765年に作曲した交響曲です。

交響曲第28番から31番までの4曲は、自筆原稿から1765年に作曲されたことが判明していて、その中でも28番の自筆原稿は部分的に他と異なる種類の紙を使っており、またエントヴルフ・カタログ(草稿目録)上では31番・29番とは別のインクで下に書かれていることから、他の曲よりも遅れて作曲されたと考えられています。

第1楽章 Allegro di molto
3/4拍子。一見6/8拍子とみまがうような「ターータタタ」のリズム音型が一貫して展開され、独特の拍節感、リズム感を持っています。ベートーヴェンに通じる手法です。再現部でイ短調で独奏オーボエが主題を歌うのが印象的です。

第2楽章 Poco Adagio
ニ長調、2/4拍子、ソナタ形式。弦楽器のみで演奏されます。弱音器をつけたヴァイオリンの主題は、レガートとスタッカートの交替により動きをもって進行します。

第3楽章 Menuet - Trio. Allegro molto
ヴァイオリンの隣同士の弦(E線の開放弦とA線)を移動して同音を交互に弾く弦楽器独自の書法(バリオラージュ)が利用された珍しいメヌエット。同様の技法をハイドンはときどき使用しており、交響曲第45番の終楽章プレストに出現するほか、「蛙」の愛称で知られる弦楽四重奏曲作品50の6番(Hob.III:49)の終楽章がよく知られます。

トリオは弦楽器のみのイ短調で狭い音域をうろつきまわるような旋律です。第29番のトリオほどではないが、何かが欠けたような異様な音楽になっています。

第4楽章 Finale: Presto
6/8拍子、ソナタ形式。結果的に第1楽章と似た動機が使用されているがすっきりとした小規模なソナタです。

 

次に、

交響曲第29番ホ長調 Hob.I:29は、ハイドン交響曲で、自筆楽譜から1765年に作曲されたことが判明しています。作曲者のホ長調交響曲は少なく、他に第12番があるのみです。

第1楽章 Allegro di molto
3/4拍子。4分音符が主体であり、テンポ指定の割りにゆったりと進行する印象を受けます。弦楽器のモティーフにオーボエの和音が応える印象的な第1主題を中心に展開されています。

第2楽章 Andante
イ長調、2/4拍子、ソナタ形式。弦楽器のみで演奏されます。モティーフの断片を第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンで交互に出し合い主題の旋律を形成します。旋律の反復の際には役割が交替します。合間に、低弦により流れを分断するような強奏で合いの手が挟まれます。第2主題はシンコペーションのリズム。

第3楽章 Menuet - Trio, Allegretto
主部は流れるような旋律で一貫し、強弱の対比がはっきりしています。トリオはホ短調にかわり、ホルンと弦楽器により伴奏と思われる音型が延々と奏されるものの、旋律らしいパートを欠いていて異様です。これは作曲者の独創性との見方もできるが、当初書かれていたものが演奏者の都合で削除された可能性もあります。

第4楽章 Finale: Presto
4/4拍子、ソナタ形式。アルペッジョや音階で広い音域を上昇や下降する動機を組み合わせた快活な楽章です。低音楽器は単純に同じ音を刻みます。アルペッジョによる冒頭動機は展開部において徹底されています。推移部は主に音階の下降、結尾は音階上昇からなりバランスが取れています。

 

続いて、

交響曲第30番ハ長調 Hob.I:30は、ハイドンが1765年に作曲した交響曲です。この曲は聖週間に歌われるグレゴリオ聖歌アレルヤの旋律を第1楽章に使っているため、アレルヤ交響曲と呼ばれています。演奏時間は約12分。

交響曲第28番から31番までの4曲は、自筆原稿から1765年に作曲されたことがわかっています。ハイドンの初期の交響曲は3楽章のものと4楽章のものが混在していますが、1765年以降で3楽章の曲はこの曲と交響曲第26番の2曲だけです。両者とも典礼音楽の引用があり、おそらく教会での演奏用に作曲されたために特別な構成を持っているのかもしれません。

アレルヤ」という副題は自筆原稿には見られませんが、同時代の筆写譜にはすでに見ることができます。

アレルヤの主題は第1楽章の裏旋律として現れます。同じ音楽をハイドンバリトン三重奏曲(Hob.XVI:64、1768-1769年ごろ)の第1楽章にも転用しています。また、モーツァルトのカノンK.553にも使われている(なお、交響曲第41番「ジュピター」最終楽章の主題がアレルヤにもとづくと言われることがありますが、ここでいうアレルヤとは別の曲です。ジュピターの主題と同じものはハイドン交響曲第13番の最終楽章に現れます。

第1楽章 Allegro

4⁄4拍子、ソナタ形式。聖歌の旋律は第2ヴァイオリンに現れ、第1ヴァイオリンがそれを装飾しています。第2主題も同じ動機にもとづき、同主短調への陰りが見られます。展開部は冒頭の上昇音型の動機により展開されます。再現部は管楽器のみで聖歌の主題が奏され、提示部よりも簡略化されています。

第2楽章 Andante
ト長調、2⁄4拍子、ソナタ形式。ホルンは休み。アウフタクトで始まる付点リズムを特徴とした主題を弦楽器が奏し、独奏フルートやオーボエが続きます。展開部は独奏フルートがソリスティックに活躍します。

第3楽章 Tempo di Menuet, più tosto Allegretto
通常のメヌエットと異なってトリオからダ・カーポするのではなく、中間に2つの挿入エピソードを持ちます。2つのトリオとコーダを持ったメヌエットとも考えられます。メヌエット主部はホルンの落ち着いた音色が特徴的な穏やかな主題。それに続く部分はトリオの表記やメヌエットの反復の指示はありませんが、ヘ長調でヴァイオリンと独奏フルートを重ねた流麗な部分と、イ短調で鋭いリズムを持つ部分が続きます。メヌエットが再び反復された後のコーダも落ち着いたものです。

 

最後に、

交響曲第31番ニ長調 Hob.I:31は、ハイドンが1765年に作曲した交響曲です。『ホルン信号』(Hornsignal)の愛称で知られ、名前の通り4本のホルンが活躍するほか、随所に協奏曲的な箇所があり、終楽章がゆっくりした変奏曲になっているなど、ハイドン交響曲の中でも独特の内容を持っています。

長らくハイドン交響曲は後期のもの以外無視されてきましたが、本作は初期の交響曲の中で例外的によく知られています。しばしばハイドンの作品を取り上げたことで知られるアルトゥーロ・トスカニーニは1931年以来3回この曲を指揮し、1938年の演奏の録音が残っています。

交響曲第28番から31番までは自筆原稿が残っており、1765年に書かれたことが明らかです。当時ハイドンエステルハージ家の副楽長でしたが、エステルハージ家に4人のホルン奏者がいた時期は特定されていて、1763年の8-12月と1765年5月-1766年2月でした。4本のホルンを使った交響曲にはこの曲のほかに交響曲第13番、交響曲第39番、交響曲第72番があり、ほかに7声部ディヴェルティメント(Hob.II:D22)も4本のホルンを使用しますが、いずれもこの時期に書かれたと考えられています(ただし第39番については議論あります)。この中では本曲がホルンをもっとも効果的に使っています。なお第72番は第2楽章で独奏楽器が活躍し、最終楽章がさまざまな楽器の活躍する変奏曲になっているなど、本曲との共通点が多いです。

一般に使われる「ホルン信号」という愛称は後世のものですが、すべての楽章でホルンが活躍するこの曲の特徴をよく表しています。愛称にはほかにも「狩場にて」(auf dem Anstand)、「ニュルンベルクの郵便ホルン」などがあります。ただし軍楽信号と郵便ホルンの音は使われているが、狩のホルンの旋律は使われていません。

第2楽章と第4楽章ではホルン以外にも独奏楽器が協奏曲的に活躍します。特に第4楽章ではコントラバスにも独奏を与えています。

第1楽章 Allegro
ニ長調、3/4拍子、ソナタ形式。4本のホルンのユニゾンによる軍楽的な信号音に続き、弦を伴い、独奏ホルンが郵便ホルンを表すオクターブ跳躍の第1主題を提示します。第2主題はフルートの上昇旋律と弦による対話で構成されています。再現部は最初から郵便ホルンの主題が現れますが、曲の終わりにコーダのようにして最初の信号音が現れます。

第2楽章 Adagio
ト長調、6/8拍子、ソナタ形式。ホルン以外の管楽器は休み、独奏ヴァイオリンと独奏チェロの活躍する合奏協奏曲風の楽章になっています。まずピッツィカートの伴奏に乗って独奏ヴァイオリンがシチリアーノ風の優美な主題を提示し、2本のホルンがそれに続きます。独奏チェロも長い旋律を奏します。伴奏音型を担当する第2ホルンはかなり技巧的に作られています。

第3楽章 Menuet - Trio
ニ長調メヌエット主部は全奏によります。トリオではホルンとオーボエ、ヴァイオリン、フルートなど様々な音色の重なりが工夫されています。

第4楽章 Finale: Moderato molto - Presto
ニ長調、2/4拍子、変奏曲形式。弦楽器による主題に続いて7つの変奏が続きます。第1変奏はオーボエとホルン各2本、第2変奏は独奏チェロ、第3変奏はフルート、第4変奏はホルン四重奏、第5変奏は独奏ヴァイオリン、第6変奏はトゥッティ、第7変奏は独奏コントラバスを主とします。その後短い経過部を挟んで音楽は突如Presto、3/4拍子となり疾走する中、ホルンにより再び第1楽章冒頭の信号音の動機が再現され堂々と終わります。

 

さて、かずメーターですが、

第28番 82点

第29番 81点

第30番 81点

第31番 82点

全体的にこの時期の交響曲はとても安定していて聴きやすいと思います。

バロックとも違うし、ベートーヴェンとも違う。とても興味深い曲が多いです。

その分、楽器ごとに細かく聴くと解説の内容もよくわかり楽しく聴けると思います。

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