交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第40~43番

さて、今回はハイドン交響曲第40~43番についてお話します。

 

最初に、

交響曲第40番ヘ長調 Hob.I:40は、ハイドンが1763年に作曲した交響曲です。前後の番号の曲は1768年ごろの作品ですが、この曲は自筆原稿が存在し、実際には交響曲第12番や交響曲第13番と同じ1763年の作品であることがわかっています。ただしジェームズ・ウェブスターによると各楽章が異なるスタイルを持っており、紙の種類も異なることから、本来別々に作曲された曲をまとめて交響曲に仕立てたパスティッチョである可能性があります。

最終楽章がフーガになっており、ハイドンが早くから対位法に興味を持っていたことがわかります。

第1楽章 Allegro
3⁄4拍子、ソナタ形式。低音楽器による8分音符の刻みの上でヴァイオリンが穏やかな主題を演奏します。

第2楽章 Andante più tosto Allegretto
変ロ長調、2⁄4拍子、ソナタ形式。弦楽器のみにより、全曲にわたってヴィオラと低音によるスタッカートの8分音符の伴奏の上でヴァイオリンが旋律を演奏します。2声部のみの音楽である。

第3楽章 Menuet - Trio
メヌエット主部はオーボエを重ねたヴァイオリンが旋律を演奏します。トリオ部分はホルンとオーボエが旋律楽器として活躍します。

第4楽章 Finale - Fuga: Allegro
2⁄2拍子。4度の下降音程ではじまる軽快なフーガの主題が最初第2ヴァイオリンに現れ、ついで第1ヴァイオリン(ただしこちらは5度下がっている)、ホルンと呼応していきます。

 

次に、

交響曲第41番ハ長調Hob.I:41は、ハイドンが1768年頃に作曲した交響曲です。同時期に書かれたハ長調交響曲にはほかに交響曲第38番と交響曲第48番「マリア・テレジア」があります。

この曲は自筆原稿が残っておらず、作曲年代ははっきりしません。フンメル(有名な作曲家とは無関係)によって1770年に出版されているのでそれ以前の曲であるそうです。ランドンは、おそらくヨハン・エルスラーによって書かれた筆写譜の紙の種類と、エントヴルフ・カタログ上の位置を根拠として、1768年にはすでに書かれていたかもしれないとしました。また、ゲルラッハは緩徐楽章に独奏楽器以外に通常の管楽器が用いられていることから1767年以前の作品ではないとしました。

第1楽章 Allegro con spirito
3⁄4拍子。おだやかな舞曲風の第1主題が弦楽器に現れます。2回めはオーボエが重ねられ、派手なトレモロによって盛り上がります。提示部のかなり後ろの方で弦楽器によって第2主題が演奏されます。展開部は極端な転調やフェルマータを含みます。再現部の第2主題にはオーボエが重ねられます。

第2楽章 Un poco andante
ヘ長調、2⁄4拍子、ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンによってはじまります。つづけてフルートの独奏が32分音符で分散和音を演奏し、第1オーボエが旋律を奏でます。展開部は再現部の直前まで弦楽器のみによるものです。

第3楽章 Menuet - Trio
メヌエット主部はトリルや三連符を使った華やかな主題を持ちます。トリオは対照的にレントラー風の素朴な曲で、管楽器が主題を演奏します。

第4楽章 Finale: Presto
2⁄4拍子、ソナタ形式。三連符の連続によるジーグ風の高速な舞曲になっています。

 

続いて、

交響曲第42番ニ長調 Hob.I:42は、ハイドンが作曲した交響曲で、自筆原稿から1771年の作曲であることが判明しています。いわゆるシュトルム・ウント・ドラングの時代にあたるものですが、本曲は明るい曲調を持つ軽めの音楽になっています。

ハイドンは難しくなりすぎないように気を使っていたらしく、第2楽章の自筆譜の中に「これは学者の耳用すぎた」(Dieses war vor gar zu gelehrte Ohren)と記して書き直した箇所が存在します。

ハイドン交響曲の中で、最終楽章にロンドを使用した初期の例になっています。近い時期の交響曲で終楽章に変奏曲風のロンドを使用したものには交響曲第51番(1771-73年ごろ)や交響曲第55番(1774年)があります。とくに後者とは弦楽のみで始まって管楽合奏が続く点でも共通します。

第1楽章 Moderato e maestoso
2⁄2拍子。ヴィオラとチェロによる8分音符の刻みに乗って、ヴァイオリンがアッチャカトゥーラを多用した第1主題を開始します。第2主題は転調を繰り返しながら短調へと向かいます。再現部の最後にフォルテッシモでホルンのファンファーレが加わります。

第2楽章 Andantino e cantabile
イ長調、3⁄8拍子、ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンが主題を演奏します。展開部は短調ではじまります。管楽器の使用は控えめだが、再現部ではホルンが重ねられています。

第3楽章 Menuet: Allegretto - Trio
メヌエット主部は1拍めに三連符が置かれます。トリオは弦楽器のみにより、第1ヴァイオリンが上昇分散和音から長いトリルを演奏します。

第4楽章 Finale: Scherzando e presto
2⁄4拍子、変奏曲風のロンド形式。主題は弦楽器のみで開始します。最初の挿入エピソードは管楽器のみによるものです。再び弦楽器で16分音符を使って主題が演奏された後、ニ短調のエピソードが挿入されます。最後に主題が戻ってきた後に長めのコーダがあります。

 

最後に

交響曲第43番変ホ長調Hob.I:43はハイドンの作曲した交響曲で、第44番と同様、1772年のブライトコプフ社カタログに記載されており、1771年前後に作曲されたと考えられています。激しい44番とは対照的な、明るくさわやかな調子の曲です。

19世紀以降「マーキュリー」(独: Merkur)という名で呼ばれているが、由来は不明です。

第1楽章 Allegro
3/4拍子、ソナタ形式。同音の4回の繰り返しにはじまる長いおだやかな第1主題がヴァイオリンによって演奏され、華やかに盛り上がって変ロ長調に転調した後にも繰り返されます。展開部もこの主題が支配します。

第2楽章 Adagio
変イ長調、2/4拍子、ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンによって主題が演奏されます。管楽器の使用は全体に控えめです。展開は弦楽器のみにより、短調で始まったのちに和音を変えながら同じ音型が繰り返されます。

第3楽章 Menuetto - Trio
メヌエット主部とトリオの双方ともかなり単純な曲です。ランドンは「流行歌」(hit tunes)を旋律にもっていると言っています。

第4楽章 Finale: Allegro
2/2拍子、ソナタ形式。再び長めのおだやかな主題ではじまります。再現部の後にコーダが付加され、いったんピアニッシモまで音をおとした後、全休止をはさんで華やかに終わります。

 

さて、かずメーターですが、

第40番 83点

第41番 82点

第42番 81点

第43番 82点

個人的には第40番が好きで特に第3楽章が気に入っています。でもハイドンって曲が難しくならないように配慮していたんですね。この聴きやすさはそこから来ているんでしょうね。第43番は「マーキュリー」とか名前がついているのですが、とびぬけていい曲というわけではなく、平均的なハイドンの曲になっています。

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