交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第47~49番

さて、今回はハイドン交響曲第47~49番についてお話します。

 

最初に第47番

交響曲第47番ト長調Hob.I:47は、ハイドンが1772年頃に作曲した交響曲で、第3楽章の特徴から「パリンドローム(回文)」の愛称でも呼ばれています。

交響曲第45番、交響曲第46番、および本曲の3曲は自筆原稿によって1772年の曲であることが判明しています。いわゆるシュトルム・ウント・ドラング期が最高潮に達した年の作品で、この曲も多くの革新的な要素や対位法的な工夫を含んでいます。

第3楽章の逆行メヌエットがもっとも有名で、ピアノソナタイ長調 Hob.XVI:26 の第2楽章にも転用されています。しかし、第1楽章再現部の短調による開始、第2楽章の二重対位法を使って書かれた変奏曲、最終楽章のジプシー風の倚音の多用からホルンの不協和音への展開など、ほかの楽章も創意に満ちています。

第1楽章 (Allegro)

4分の4拍子。行進曲風の弾むような付点リズムをもった第1主題(2台のホルンが二度で音をぶつけあう)と、対照的な3連符による第2主題からなるソナタ形式です。再現部では第1主題がト短調で再現された後、すぐに長調で第2主題が再現されます。

第2楽章 Un poco adagio, cantabile

長調、4分の2拍子。弱音器をつけたヴァイオリンにはじまる独特の拍節を持つ主題が変奏曲風に展開していきます。

変奏曲形式の緩徐楽章は後のハイドンは多用しますが、この曲で初めて現れます(従来はソナタ形式が普通、なお最終楽章では交響曲第72番交響曲第31番などですでに変奏曲を使用しています)。

第3楽章 Menuetto al Roverso - Trio al Roverso

メヌエット主部とトリオはいずれも前半と後半に分かれますが、後半は前半を逆行させます(自筆原稿には前半しか書かれていません)。主部では前半で1拍めだけがフォルテ、残りがピアノの箇所があるため、後半では3拍めがフォルテになり、逆行していることがわかりやすくなっています。

Al roverso symfonie 47 Haydn.png

上の楽譜はメヌエットの主部の冒頭と最後である。回文となっているのがわかります。

第4楽章 Finale: Presto assai

2分の2拍子、単一主題のソナタ形式です。目まぐるしい強弱、転調などが特徴的です。提示部は弦楽器ではじまりますが、途中から急に短調に転じてジプシー風の音楽になり、全休止を経てふたたび最初の主題が出現します。展開部は短いが派手な転調を含みます。

 

続いて第48番

交響曲第48番ハ長調 Hob.I:48は、ハイドンが1769年頃に作曲した交響曲で、同時期の交響曲第41番と並び、ハ長調で書かれた祝祭的な交響曲です。

この交響曲は『マリア・テレジア』(Maria Theresia)というニックネームで呼ばれていますが、これは1773年にマリア・テレジアエステルハージ家を訪問した際の歓迎行事で演奏されたと伝えられたことに由来しています。しかし、交響曲第48番の1769年の原稿が見つかっていることから、現在ではこの曲と1773年のマリア・テレジアの訪問とは無関係とされています。ランドンは、このときに演奏された曲は交響曲第50番だったと考えています。

第1楽章 Allegro
4/4拍子、ソナタ形式。堂々とした祝祭的な音楽で、提示部はかなり複雑な構造をしています。管楽器によるファンファーレ風の主題のあと、弦楽器のパッセージがいったんフェルマータで止まり、ふたたび最初の主題が演奏されます。展開部は弦楽器を中心とします。再現部では高音のC管のホルンによる高い音が響きます。

第2楽章 Adagio
ヘ長調、6/8拍子。ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンによって優美な主題が演奏され、ところどころに挿入される管楽器だけの楽句が印象的です。

第3楽章 Menuet: Allegretto - Trio
主部は普通に始まりますが、途中で軍隊ラッパ風のユニゾンが挿入されます。トリオではハ短調に転じます。

第4楽章 Finale: Allegro
2/2拍子。ソナタ形式。弦楽器による八分音符のリズムが曲全体を支配します。

 

最後に第49番

交響曲第49番ヘ短調 Hob.I:49は、ハイドンが1768年に作曲した交響曲で、「受難」(イタリア語: La passione)の愛称で知られています。

いわゆるシュトゥルム・ウント・ドラング期に書かれた短調交響曲のひとつです。

自筆原稿から1768年に作曲されたことがわかっています。緩徐楽章から始まる教会ソナタ風の構成を持つハイドン最後の交響曲で、すべての楽章が同じヘ短調の調性を持ちます。

「受難」の愛称があり、おそらく交響曲第26番と同様の受難交響曲であったとランドンや大宮真琴は考えていますが、古くは「陽気なクエーカー教徒」というまったく異なる題で呼ばれていることをエレーン・シスマンは指摘しました。ウェブスターは「受難」の題が真正のものではなく、また受難週や復活祭と関連する証拠は何もないとして、むしろ劇の付随音楽に由来する可能性があるとしています。

第1楽章 Adagio
3⁄4拍子、ソナタ形式

第2楽章 Allegro di molto
4⁄4拍子、ソナタ形式。提示部はヴァイオリンによる極端な跳躍音程の主題ではじまり、すぐに変イ長調に変わります。展開部は長調のまま開始します。曲の構造は比較的単純です。

第3楽章 Menuet - Trio
メヌエット主部の先頭3音は第1楽章の主題と同じです。トリオはヘ長調に変わります。

第4楽章 Finale: Presto
2⁄2拍子、ソナタ形式。弦楽器が主体で、管楽器は和音を伸ばすのがほとんどですが、再現部の手前でオーボエが8小節にわたって主題を演奏するのが目立ちます。

 

さて、かずメーターですが、

第47番 83番

第48番 81番

第49番 81番

この時期の曲ってなぜか第3楽章に優れたものが多い気がします。いずれもハイドン先生の曲、標準以上のいい曲です。第49番は第1楽章がAdagioなのでちょっと暗めな入りなのですが、第2楽章途中で変わりますのでご心配なく。

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