ハイドン 交響曲第66~68番
さて、今回はハイドンの交響曲第66~68番についてお話します。
最初に第66番
交響曲第66番変ロ長調 Hob.I:66は、ハイドンの交響曲で作曲年代は明らかでありませんが、66・67・68番の3曲は1779年秋にフンメル(有名な作曲家とは無関係)によってハイドンの作品15として出版されており、それ以前の作品です。ハイドン全集(JHW)では1775/1776年ごろの作品としています。
第1楽章 Allegro con brio
第1主題は交響曲第62番と同様の下降分散和音によるものです。
第2楽章 Adagio
ヘ長調、ソナタ形式、3⁄4拍子。弱音器をつけたヴァイオリンによる静かな音楽で、提示部の終わりあたりで第1ヴァイオリンによるG線の開放弦ピッツィカートが1音だけ現れます。展開部の後半は突然フォルテッシモの全奏になります。
第3楽章 Menuetto - Trio
付点つき音符によるはずんだ音楽と、落ち着いたトリオが対照的です。
第4楽章 Finale (Scherzando e presto)
ロンド形式の高速な終楽章。最初の挿入エピソードではフェルマータによって突然音楽が減速します。
次に、第67番
交響曲第67番ヘ長調 Hob.I:67は、ハイドンの交響曲で特に愛称はないが、弦楽器に様々な奏法が使用され、創意工夫に富んでいます。第4楽章が急緩急の三部形式をとるのはイタリア序曲を転用したものといわれています。
作曲年代は明らかでないが、66・67・68番の3曲は1779年秋にフンメル(有名な作曲家とは無関係)によってハイドンの作品15として出版されており、それ以前の作品であると考えられています。ハイドン全集(JHW)では1775/1776年ごろの作品とされています。
第1楽章 Presto 6/8拍子
開始楽章にしては最も急速な速度をとっています。アルペッジョを主体とした主題がピアニッシモに開始され、伴奏にピッツィカートが多用されています。
第2楽章 Adagio 2/4拍子
変ロ長調、ソナタ形式。弱音器つきヴァイオリンによる、複付点音符つきの特徴的な主題ではじまります。提示部の終わりに突然フォルテでホルンが聞こえます。展開部では第1ヴァイオリンが第2ヴァイオリンを1拍おくれて追いかける箇所があります。結尾にコル・レーニョ(弓の木の部分で弦を叩く)奏法が指示されています。
第3楽章 Menuetto-Trio
主部はアルペッジョを主体としています。トリオは弱音器をつけたヴァイオリン2本による二重奏で、第1ヴァイオリンは1本の弦だけを使って演奏されます。第2ヴァイオリンはスコルダトゥーラでG線が一音低いFに調弦され、この開放弦が常に保続された民族的な響きになります。
第4楽章 Finale,Allegro di molto 4/4拍子-Adagio e cantabile 3/8拍子-Tempo Ⅰ 4/4拍子
第1主題は、主題はまたもやアルペッジョを主体としたものです。展開部に代わり、第二の緩徐楽章といえるAdagio e cantabileが挿入され、ヴァイオリン2本とチェロの三重奏に開始され、全合奏に発展し、中間部は次いでオーボエ2本とファゴットの三重奏となるなど、色彩豊かです。半終止の後、主部が再現されます。
最後に、第68番
交響曲第68番変ロ長調 Hob.I:68は、ハイドンの交響曲で作曲年代は明らかではありませんが、1774年ごろと考えられています。
第1楽章 Vivace
3⁄4拍子のさわやかな主題にはじまります。
第2楽章 Menuetto - Trio
ハイドンの交響曲でメヌエットを第2楽章に置くのはこの曲が最後です。トリオでは第3拍に強いアクセントの置かれた特殊な音型が出現します。
第3楽章 Adagio cantabile
変ホ長調、ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンにより、十六分音符の連続の伴奏に乗って旋律が演奏されますが、途中で突然全奏によって4つの十六分音符だけが強調されます。
第4楽章 Finale (Presto)
ロンド形式の高速な楽章。最初の挿入エピソードはファゴットによる武骨な旋律、2番目のエピソードはオーボエによるなめらかな旋律、3番目のエピソードは低音楽器による短調の旋律が演奏されます。最後の全奏の手前に独奏楽器による「こだま」の模倣があります。
さて、かずメーターですが、
第66番 83点
第67番 81点
第68番 83点
いずれも好印象の曲ですが、第68番が一番聞いていて楽しめるかなと思います。