交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ブラームス 交響曲第3番

今回はブラームス交響曲第3番についてお話します。

第2番が牧歌的で少々物足りなさがあったかもしれませんが、原点回帰、力強いブラームスが戻ってきます。と言いながら第1番のように力で押し切る感じではなく、優雅な旋律もありーのでとても楽しい曲です。

作曲された時期はドイツ音楽はブラームス派とワーグナー派と分かれて論争を繰り返していたようです(後述)。ブラームスはオペラはダメだろうし、ワーグナー交響曲は私が聞いてもダメダメなので趣味分かれますよね。私は交響曲の味方なのでブラームス派です。

 

交響曲第3番は、1883年5月から10月にかけて作曲されました。ブラームス交響曲の中では演奏時間が最も短いものです。初演者ハンス・リヒターは、「この曲は、ブラームスの『英雄』だ。」と表現しました。

1877年に第2交響曲を作曲したブラームスは、その翌年からヴァイオリン協奏曲(1878年)、『大学祝典序曲』及び『悲劇的序曲』(1880年)、ピアノ協奏曲第2番1881年)といった管弦楽作品を発表します。

第2交響曲から6年後の1883年5月、ブラームスは温泉地として知られるヴィースバーデンに滞在し、第3交響曲をこの地で作曲しました。第1楽章については、1882年の夏ごろからとりかかっていたという説もあるが確証はありません。ヴィースバーデンでは、友人達との親交や、とりわけ若いアルト歌手ヘルミーネ・シュピースとの恋愛感情がこの曲に影響を及ぼしたともいわれます。同年10月2日にブラームスはウィーンに戻り、11月9日と22日にイグナーツ・ブリュルと2台のピアノ版による試演会を開いています。ブラームスは50歳でした。

1883年12月2日、ハンス・リヒターの指揮により、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会で初演されました。結果は大成功で、ブラームスは再三カーテンコールを受けたそうです。

当時のドイツ音楽界は、ブラームス派対ワーグナー派という陣営の対立が激化していましたが、1883年にワーグナーが没してまもない時期で、ワーグナー派の強い反発のなかでの初演でした。この初演を聴いた批評家でブラームスの友人でもあったエドゥアルト・ハンスリックは、第1交響曲、第2交響曲と比べても「芸術的に完璧な作品として心を打つ」と絶賛しています。一方、ワーグナー派で反ブラームスの急先鋒でもあったフーゴ・ヴォルフは、「まったく独創性というものが欠けたできそこないの作品である」とほとんど中傷に近い批評を寄せたそうです。

 

ブラームスは、第1番ではC-C#-D(ハ-嬰ハ-ニ)、第2番ではD-C#-D(ニ-嬰ハ-ニ)と、過去の2つの交響曲で統一的な基本動機を用いていましたが、この曲では、基本動機からさらに一歩踏み込んだ形として、モットーを使用しています。曲の冒頭で管楽器によって示されるF-A♭-F(ヘ-変イ-ヘ)がそれです。このモットーは第1楽章全体を支配し、他の楽章でもあちこちに顔を出します。それだけでなく、これまでの基本動機のように素材として展開されたり旋律を形作ることより、むしろ以下に述べるように、交響曲全曲の性格を決定づけるものとなっています。

モットーの音型について、ブラームスの友人であった伝記作者カルベックは、ブラームスが好んだという“Frei aber froh”(自由だが喜ばしく)という言葉の頭文字と結び付けています。この言葉は、ブラームスの親友ヨーゼフ・ヨアヒムのモットーである“Frei aber einsam”(自由だが孤独に)と対をなす合い言葉のようなものであったそうです。とはいえ、交響曲の主調がヘ長調であるなら単純にF-A-Fとなるところを、ブラームスがあえてF-A♭-F(ドイツ語ではF-As-F)というヘ短調に属する音型を用いていることは注目されます。ここから生じるヘ長調ヘ短調の葛藤は、全曲の性格に決定的な影響を与えています。

 

第1楽章 Allegro con brio

ソナタ形式

冒頭、管楽器のモットーにつづいて、ヴァイオリンが第1主題を示します。モットーの持つヘ短調の響きが、表情に陰りを与えています。この主題は、ほぼ同じ形の動機が一瞬登場するシューマン交響曲第1番「春」の第2楽章や、交響曲第3番「ライン」の第1楽章との関連を指摘されることもあります。静かな経過句を経て9/4拍子となり、クラリネットが第2主題をイ長調で出ます。この主題は、ワーグナーの歌劇『タンホイザー』の「ヴェーヌスベルクの音楽」と共通点があるとも指摘されます。主題の後には第2交響曲の基本動機も顔を出します。提示部は反復指定があるが、ブラームスの他の交響曲に比べて実行される頻度はやや高いです。展開部は情熱的に始まり、低弦が第2主題を暗い嬰ハ短調で演奏します。静まると、ホルンがモットーに基づく旋律を大きく示します。第1主題の動機を繰り返しながら高まって、再現部に達します。コーダでは、モットーと第1主題が絡み合いますが、収拾されて静まります。モットーが響くなか、第1主題が消え入るように奏されて終わります。

 

第2楽章 Andante

自由な三部形式あるいは自由なソナタ形式と見られます。

第1主題はクラリネットファゴットのひなびた旋律です。各フレーズの終わりでモットーが示されます。この第1主題に含まれる、3度をゆらゆらと反復する動機も目立ちます。第2主題は同じくクラリネットファゴットが新たにコラール風の旋律を演奏します。ヴァイオリンの新しい旋律(コデッタ主題)に受け継がれてから、経過的な展開部に入ります。この楽章を三部形式とみなす場合は第2主題およびコデッタの部分が中間部に相当します。展開部は比較的小規模で第1主題の断片を奏して再現部を導きます。第2主題の再現は省略され、コーダでは第1主題が静かにクラリネットで奏されてから曲が終わります。

 

第3楽章 Poco allegretto

三部形式

木管の響きの上に、チェロが旋律を歌います。全曲でもよく知られている部分です。映画『さよならをもう一度』に使われていたり、『Take My Love』という名で フランク・シナトラが歌詞を付けて歌っています。中間部は変イ長調。主部の旋律はホルンによって再現されます(なお、この楽章で使用されている金管楽器はホルン2本のみです)。

 

第4楽章 Allegro - Un poco sostenuto

自由なソナタ形式

ファゴットと弦が第1主題を示します。トロンボーンの同音反復に導かれて、第2楽章のコラール風動機が演奏されます。直後に、音楽は激しくなり情熱的にすすみます。第2主題はハ長調、チェロとホルンによる三連符を用いたものです。小結尾はハ短調となります。展開部は第1主題を専ら扱うもので第1主題の再現を兼ねています。よってここから再現部と見なすこともあります。コラール風の動機が強奏で繰り返され、ハ短調から半音ずつずり上がってヘ長調に達し、一転ヘ短調となります。コーダに入ると、第1主題が表情を変えながら繰り返され、やがてヘ長調に転じます。モットーが現れ、弦の細かな反復する動きに乗って、コラール風の動機が示されます。最後には第1楽章第1主題が回想され、静かに曲を閉じます。

 

かずメーターでは

第一楽章 かずメーター 91点

第二楽章 かずメーター 88点

第三楽章 かずメーター 92点

第四楽章 かずメーター 90点

聴きどころの多い曲ですのでBGMとしてどこからお聞きになっても楽しいかと思います。

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