交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第90、91番

さて、今回はハイドン交響曲第90、91番についてお話します。

ハイドンもこの時期になると全曲が長くなるので1回2曲のご紹介です。

 

交響曲第90番

交響曲第90番ハ長調 Hob.I:90は、1788年に完成した交響曲です。ハイドン交響曲の古い分類方式にちなんで、まれに「R字」と呼ばれることもあります。パリとマルセーユの間の郵便事業を独占していたフランスのドーニ伯爵からの依頼で作曲されましたが、ハイドンは1788年の1月に、エッティンゲン・ヴァラーシュタインのクラフト・エルンスト公から、誰も所有していない新作の交響曲を3曲手に入れたいといわれ、翌年に同じく第90番、第91番、第92番までの3曲の楽譜をエルンスト公に売り渡してしまいました。ハイドンが、なぜこのような二重販売を行なったのか未だに不明です。

全4楽章で、演奏時間は約26分。

第1楽章 アダージョ-アレグロ・アッサイ(Adagio - Allegro assai)
序奏と主要部による楽章。ハイドンが好んで使用した装飾音を持つ進行は、第1主題でそのまま使用しています。主要部はソナタ形式によります。
第2楽章 アンダンテ(Andante
変奏曲形式によるものです。緩徐楽章において変奏曲を置くことを好んでいましたが、この楽章では短調の変奏をひとつ前に置いています。
第3楽章 メヌエット-トリオ(Menuetto - Trio)
テンポの指定は無く、トリオはメヌエットと関連します。フランス趣味に合うような優雅さと洗礼さを併せ持つ内容です。
第4楽章 アレグロ・アッサイ(Allegro assai)
自由なソナタ形式による楽章です。ただし第1主題を重視したものであり、単一主題のソナタ形式となっています。結尾に入る直前に4小節の偽休止がありますが、これは導入とハ長調から変ニ長調への転調のためにあるものです。

 

交響曲第91番

交響曲第91番変ホ長調 Hob.I:91は、1788年に完成した交響曲です。ハイドン交響曲の古い分類方式によって、「T字」と呼ばれることがあります。

第90番から第92番の3曲の交響曲のうち、第91番はやや地味な存在で、また3曲のうち、楽器編成が小規模であることが窺えます。しかし旧態依然とした作品ではなく、これに続く『ロンドン交響曲集』を予測させるような、意欲的な書法を多く見せています。

標準的な4楽章制によるものです。演奏時間は約26分。

第1楽章 ラルゴ-アレグロ(Largo - Allegro)
作曲当時のハイドンの通例として、序奏部は4分の3拍子となっています。この序奏は主要部の主題の芽を含んでいると言えます。ソナタ形式の主要部は、対位法的な書法を豊かに駆使しており、弦楽による第1主題も効果的に対位法が使われます。展開部、及び結尾も対位法が同じように使われています。
第2楽章 アンダンテ(Andante
変奏曲形式による楽章です。ハイドンは緩徐楽章において変奏曲を置くことを好んでいました。
第3楽章 メヌエット.ウン・ポコ・アレグロ(Menuetto. Un poco allegro)
メヌエットとトリオですが、トリオは田園舞曲風で、ファゴットを効果的に使用しています。トリオは書法的に交響曲第92番のトリオと関連付けています。
第4楽章 フィナーレ.ヴィヴァーチェ(Finale. Vivace
ロンドに似た自由なソナタ形式による楽章です。コーダの部分に第2ヴァイオリンによる第1主題のストレッタ(模倣の反復)が使われています。

 

さて、かずメーターでは

第90番 82点

第91番 81点

です。この辺になるとだいぶベートーヴェンにつながる曲調に変わっていますよね。構成も近くなっています。堂々とした感じが初期の優雅な感じの曲調と異なります。解説では91番を地味な存在と言っていますが、聞いていても他の曲に劣るとは思いません。とてもいい曲ですし、特に第一楽章などはソナタ形式を学ぶのにはよい楽章だと思います。

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