交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲 第50~53番

さて、今回はハイドン交響曲第50~53番についてお話します。

 

最初に第50番、

交響曲第50番ハ長調 Hob.I.50は、ハイドンが1773年に作曲した交響曲で、劇音楽に由来する本作は、ハイドンのいわゆる『シュトゥルム・ウント・ドラング』の時代の革新が終わって、より軽い音楽が書かれるようになりはじめる時期に位置しています。

自筆原稿から、1773年の作曲であることがわかっています。同年、エステルハーザではマリオネット・オペラ劇場が落成し、第1作としてハイドンの『フィレモンとバウチス』(Philemon und Baucis, Hob. XXIXa:1)が9月2日にエステルハーザを公式訪問したマリア・テレジアの御前で上演されました。この作品の序劇にあたるのが『神々の会議』(Der Götterrat)で、部分的にしか残存していませんが、この劇の序曲は本交響曲の第1楽章と第2楽章に相当し(ただしトランペットは含まず)、これに残り2楽章を書き足して交響曲の形にしたのが本曲であると言われています。

第1楽章は緩やかな序奏を持ちます。後期ハイドン交響曲では序奏が使われることが多いのですが、本作以前にはきわめて珍しいものです。交響曲第50番の後、いくつかの交響曲交響曲第57番、交響曲第60番など)で序奏が使われています。本格的に序奏が書かれるようになるのは1780年前後からです。

かつて、マリア・テレジアの前で演奏された交響曲交響曲第48番と考えられていましたが、ランドンによると実際に演奏されたのは第50番であったといいます。しかしウェブスターによれば交響曲第50番の後半の楽章は最初の2楽章と同じ紙にハイドンが後から書き加えたもので、完成したのは1774年ごろとしています。

第1楽章 Adagio e maestoso - Allegro di molto
序奏は4⁄4拍子で、付点を多用しています。その後3⁄4拍子でアレグロがはじまりますが、比較的短いものです。

第2楽章 Andante moderato
ト長調、2⁄4拍子。ホルン、トランペット、ティンパニは休み。オーボエは再現部ではじめて登場します。

低音から独立したチェロの楽譜がテナー記号で書かれ、ヴァイオリンの1オクターブ下で重ねて演奏されます。このような書法はむしろハイドンの初期に見られるもので、ランドンは交響曲第14番あたりの昔の型に逆戻りしていると言っていますが、ウェブスターによるとオペラの序曲であるためにこのような書き方がされているのだといいます。ソナタ形式ではありますが、展開部は6小節しかありません。

第3楽章 Menuet - Trio
主部はユニゾンで分散和音の主題が演奏され、小型のソナタ形式に似た長めの形式を持っています。トリオはオーボエと弦楽器によるものですが、他のハイドンの作品と異なり通作で書かれています。出だしは主部と同じハ長調の分散和音が弦楽器で演奏されますが、そこから急に変化してオーボエの独奏とヴァイオリンによるヘ長調の本体に進みます。しかもイ短調の属和音で終止するという、この時代として斬新な構成を見せます。

第4楽章 Finale: Presto
2⁄2拍子、ソナタ形式。推移部のフェルマータの後に、ト長調でもう1度第1主題が表れ、単一主題の曲であることを強調しています。第3楽章のトリオと同様、展開部はイ短調の属和音で閉じられます。

 

次は、第51番、

交響曲第51番変ロ長調 Hob.I:51は、ハイドン交響曲で、ランドンは交響曲第52番と同じ1771年から1773年ごろの作品としています。ウェブスター(James Webster)によると第52番よりもかなり遅い1773年ごろの作品と考えています。

第1楽章 Vivace
3⁄4拍子。ユニゾンでさわやかに始まりますが、ホルンの奇妙な音型が印象的です。70小節めに同じ和音を伸ばしながら小さくなっていきます(楽譜上にcalandoと指定されています)冗談音楽風の箇所があります。同様の趣向は交響曲第60番にも見られます。提示部のオーボエによる終結楽句を展開部はそのまま引き継いで始まった後、変ホ長調で偽の再現部が出現します。本物の再現部は最初の4小節が欠けて始まります。

第2楽章 Adagio
変ホ長調、2⁄4拍子、ソナタ形式ナチュラルホルンの時代には珍しいホルン独奏ではじまりますが、第1ホルンによる極端な高音(A♭5に達する)と第2ホルンによる極端な低音(自然倍音以外の音)を使用しています。主題はオーボエ独奏に引き継がれます。

第3楽章 Menuetto - Trio I - Trio II
トリオが2つあるのはハイドン交響曲では他に例がありません。第1トリオが後から付加された可能性もあります。

第1トリオは弦楽器のみで演奏され、ロンバルド・リズム(英語版)を持ちます。第2トリオではふたたびホルンの名人芸が見られ、最高音はB♭5に達します。

第4楽章 Finale: Allegro
3⁄4拍子。ロンド形式だが、ウェブスターは変奏曲とロンドを融合させた形式です。

 

続いて、第52番、

交響曲第52番ハ短調 Hob.I:52は、ハイドン交響曲で、ランドンは1771年から1773年ごろの作品としています。ウェブスター(James Webster)によると1771年ごろの作品であるとしています。

ハイドンは生涯に10曲の短調交響曲を書いたが、そのうち半数の5曲が1768年から1772年までの5年間に集中しています。第52番もその中の1曲で、いわゆる「シュトルム・ウント・ドラング」期のハイドン短調交響曲の中でもとくに燃えるような感情を爆発させています。

ホルンの使い方が風変わりで、両端の楽章(第1・第4楽章)では高音のC管のホルンとE♭管のホルンを1本ずつ使用するのに対し、中間楽章では低音のC管のホルンを2本使用しています。とくに高音のC管のホルンの鋭い音はこの曲の激しさの表現に貢献しています。

第1楽章 Allegro assai con brio
4⁄4拍子。第1主題はユニゾンで開始します。対照的な変ホ長調の第2主題は付点つきリズムを持って第1ヴァイオリンに現れます。展開部ではヘ短調で偽の再現部が現れます。

第2楽章 Andante
ハ長調、3⁄8拍子、ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンによって主題が演奏され、急なフォルテや半音階的進行が随所に見ることができます。ホルンは再現部ではじめて登場します。

第3楽章 Menuetto: Allegretto - Trio
短調メヌエット本体に対し、トリオでは同じ主題がハ長調で演奏されます。

第4楽章 Finale: Presto
2⁄2拍子、ソナタ形式。第1・第2ヴァイオリンだけで静かにはじまり、長調に転じた後に管楽器が加わってフォルテに達します。

 

最後に、第53番、

交響曲第53番ニ長調 Hob.I.53は、ハイドンが1778-1779年ごろに作曲した交響曲です。「帝国」(仏: L'Impériale)の通称を持ち、ハイドンの1770年代後半の交響曲としてはもっとも有名です。

「帝国」という通称は1840年のフックス目録に現れますが、なぜこのように呼ばれるかはわかっていません。ランドンはマリア・テレジアの愛好曲だったことと関係があるかもしれないと推測しています。

自筆楽譜は残っていませんが、第1版の最終楽章プレストが1777年に作曲されたニ長調の序曲(Hob.Ia:7、ランドンのいう「B」)の転用であることから、1778-79年ごろに作曲されたと考えられています。したがって、53番という若い番号にもかかわらず、実際には70番あたりと同じころの作品であると考えられています。

1776年にエステルハーザに新しいオペラ劇場が落成しました。ハイドンは劇場の音楽監督としての仕事が忙しくなり、交響曲の作曲は少なくなりました。また、この頃の交響曲には劇音楽の影響によって新しい傾向が見えます。

1779年11月18日にエステルハーザのオペラ劇場が焼失し、多くの楽譜が失われました。曲目不足を補うためにハイドンはウィーンから自作の筆写楽譜を購入して多数のパスティッチョを作成しました。このときに作られた曲のひとつに交響曲第53番の第2版があり、序奏が加えられ、ティンパニが追加されました。1780年ごろの第3版では最終楽章が「カプリッチョ」と書かれた新たな曲(ランドンのいう「A」)に差し替えられました。もとのプレストの最終楽章は交響曲第62番の第1楽章に転用されました。第3版がハイドンによる最終的な版であり、エステルハージ・アルヒーフにある唯一の版でもあります。

なお、ランドンが「C」と呼んだ3つめの最終楽章は(ランドン本人が断っているように)真作とは認め難いものです。

本曲はハイドン交響曲の中でおそらくもっとも有名になり、いろいろな出版社から多彩な編成で編曲・出版されました。ロンドンでは有名なバッハ=アーベル・コンサートの1781年の曲目として取り上げられました(このコンサートは翌年のヨハン・クリスティアン・バッハの死によって最終回になりました)。

第1楽章 Largo maestoso - Vivace
緩やかな堂々とした3⁄4拍子の序奏で開始されます。主部は2⁄2拍子で、ホルンとチェロで分散和音の第1主題が奏され、第1ヴァイオリンがそれに答えます。この主題は展開の要素を十分にもっており、それが大規模なソナタ形式を形成することを可能にしています。

第2楽章 Andante
2⁄4拍子。イ長調イ短調の民謡風の二つの主題が順に変奏される複合変奏曲です。非常に素朴でわかりやすい主題は実際の当時の俗謡を使ったともいいますが、ハイドン自身が俗謡風に書いた可能性も高いようです。

第3楽章 Menuetto - Trio
普通の明るいメヌエットですが、中間部でフェルマータに続いて管楽器の伸ばしによる美しい部分があります。トリオはフルートと弦楽器のみによります。

第4楽章 Finale: Capriccio. Moderato
2⁄2拍子、三部形式。ヴァイオリンで流れるような主題が演奏されます。中間部は短調に転じます。最後から3小節めにティンパニが他の楽器より2拍早く現れます。

 

さて、かずメーターですが、

第50番  80点

第51番  82点

第52番  83点

第53番  84点

50番は終始比較的大人しい曲調で、51番は第一楽章からとてもいいです。52番はどっしりとした感じが好感もてました。54番は全体的に聞きやすくオススメしやすい曲です。

各曲に個性があってとても楽しい曲です。

 

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