交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ハイドン 交響曲第44~46番

さて、今回はハイドン交響曲第44~46番についてお話します。

 

最初に第44番、

交響曲第44番ホ短調 Hob.I:44は、ハイドンが作曲した交響曲のひとつで、いわゆる「シュトゥルム・ウント・ドラング」期に書かれた短調交響曲で、全曲が緊張感にあふれています。

自筆楽譜は残っていませんが、ブライトコプフ社の1772年のカタログに載っており、1771年ごろに作曲されたと考えられています。

この曲の悲しみまたは哀悼(Trauer)という通称はハイドンによるものでもなければ古い筆写譜にも見ることはできませんが、1809年9月にベルリンで挙行されたハイドン追悼の記念行事でこの曲の緩徐楽章が演奏され、おそらくそのことによってつけられたと考えられます。

いっぽう古い筆写譜には「カノーネ・シンフォニア」(canone sinf.)と名づけられているものがあり、メヌエットにカノンが使われていることにもとづいています。

ホ短調という調性は当時の交響曲にはほとんど用いられた例がなく(いくつかの例の一つとして、オランダのヨハネス・フェルフルスト(英語版)は1840年前後にホ短調交響曲を作曲している)、その後の使用例は1885年のブラームス交響曲第4番まで待たなければなりません。

第1楽章 Allegro con brio
4/4拍子、ソナタ形式。ユニゾンの印象的な音型によって開始される第1主題の5度音程が全曲を支配しています。再現部の終わり近くには低音・第1ヴァイオリン・第2ヴァイオリンが1小節ずつずれて主題を演奏する美しい箇所があります。

第2楽章 Menuetto: Allegretto Canone in Diapason - Trio
主旋律を低音楽器が1小節(途中から2小節)遅れて8度下で繰り返す平行カノンによる厳粛なメヌエット。「in Diapason」とはオクターブを意味します。

メヌエットが第2楽章に来るのはハイドンの他の交響曲では初期のものに限られており、異例です。この曲より新しい曲では交響曲第68番でメヌエットが第2楽章に置かれています。

トリオはホ長調に転じます。

第3楽章 Adagio
ホ長調、2/4拍子。美しい緩徐楽章。弦楽器のみではじまり、弱音器を付けたヴァイオリンが主題を演奏します。リズムを変えて主題を繰り返した後に管楽器が加わり、三連符の連続によって進行します。

第4楽章 Finale: Presto
ホ短調、2/2拍子、ソナタ形式。第1楽章と同様にユニゾンではじまった後にポリフォニックに進行します。展開部のはじめには同じ音型でどんどん音が高くなっていく(ゼクエンツ)緊張感あふれる部分があります。

 

次に、第45番

交響曲第45番嬰ヘ短調 Hob.I:45は、ハイドンが1772年に作曲した交響曲で、いわゆる「シュトゥルム・ウント・ドラング期」の交響曲の中ではよく知られている作品の1つであるばかりでなく、ハイドン交響曲全体の中でももっとも人気のある作品のひとつです。「告別交響曲」(Abschiedssinfonie)という愛称で有名です。定式通りに4つの楽章で作曲されているが、最終楽章のあとのアダージョ部分は実質的に第5楽章に相当します。

本曲、交響曲第46番、交響曲第47番はいずれも自筆譜によって1772年の作曲であることが判明しています。上記の逸話から1772年秋に作曲されたことが明らかになっています。

この曲は嬰ヘ短調という18世紀の交響曲にはほかに見ない調性で書かれており、第3楽章と終曲部分ではさらに嬰ヘ長調(嬰音記号が6つ)になります。有名な最終楽章を除いても、第1楽章の激しいリズムや展開部に突然出現する新しい主題、第2楽章の半音階的な進行など、本曲には創意があふれています。

第1楽章 Allegro assai 
第1楽章は、当時としては異例な嬰ヘ短調を用いて、切迫した状況が表現されています。この始まり方は、シュトゥルム・ウント・ドラング期のハイドンには典型的な手法であり、第1ヴァイオリンによる下降分散和音が、第2ヴァイオリンによるシンコペーションや、管楽器の和音のタイに伴奏されています。おおむねソナタ形式として説明することができるが、多くの点で標準的なソナタ形式とは違っています。たとえば再現部の寸前で、ニ長調で新たな素材が導入され、さしずめこれが、通常のソナタ形式の第2主題のような役割を果たしています。

第2楽章 Adagio
緩やかな第2楽章はイ長調、やはりソナタ形式によるものです。弱音器をつけたヴァイオリンが奏でるくつろいだ旋律によって始まりますが、「しゃっくり」のような動機の反復が目立っています。雰囲気は、長調短調との交替によって、だんだんと厳粛に、瞑想的になっていき、シューベルトの後期作品に数多く見られるパッセージを連想させます。その後に、小節線をまたがって上昇を続ける一連の不協和音が続きます。これは再現部において、ハイドンとしては異例の長さの楽段に発展します。

第3楽章 Menuet - Trio: Allegretto
第3楽章のメヌエットは、嬰ヘ長調によるものです。トリオはホルンではじまり、途中で短調の部分を経る。

各部分の結びのカデンツは第3拍にあるためきわめて弱く、不満足な感じをもたらしています。曲はピアニッシモで終わります。

第4楽章 Finale: Presto - Adagio
終楽章は、いかにもハイドンらしく、急速なテンポのフィナーレとして始まります。嬰ヘ短調ソナタ形式によるものです。第1ヴァイオリンにバリオラージュ奏法が利用されると、一挙にリズムが激しさを増します。ついに再現部の終わりにたどり着くと、いかにも交響曲そのものが終わったかのように鳴り響くが、突然に属和音が割って入ります。

その後に来るのは、実質的に第2の緩徐楽章というべき部分です。これは古典派の交響曲ではきわめて異例のことであり、おそらくエステルハージ侯にも、非常に耳新しく響いたに違いありません。この部分は3/8拍子によって書かれ、イ長調から嬰ヘ長調に転調する間に、演奏者が持ち場を離れていくのです。わざと尻すぼみのように作曲された終結部は、ミュートをつけたきわめて柔らかなピアニッシモによって演奏されます。

退席する直前に演奏家は短いソロのパッセージが与えられていますが、それが目立たないパートもあります。退席の順序は次のとおり。第1オーボエと第2ホルン、ファゴット、第2オーボエと第1ホルン、コントラバス、チェロ、第二ヴァイオリン(楽譜上では第3・第4ヴァイオリン)、ヴィオラ。第一ヴァイオリンの2人の独奏者は最後まで演奏します。

 

最後に、第46番

交響曲第46番ロ長調 Hob.I:46は、ハイドン交響曲で1772年の作曲と言われています。 ロ長調という異常な調性や、特に最終楽章の斬新な構成から、作曲者の実験精神が窺えます。シュトゥルム・ウント・ドラング期の作品です。

交響曲第45番、46番、47番の3曲はいずれも自筆原稿から1772年の作曲であることがわかっています。とくに45番と46番はともに嬰音記号の多い調性を使用している点や、最終楽章が中断して異なる音楽が出現する点など、共通性が高いものです。ただし45番と違ってこの曲には何の逸話も残っておらず、どうしてこのような特殊な曲を書いたのかはわかりません。

ハイドンは45番と46番を演奏するためにホルンの替え管を特注しており、ハイドン自身による1772年10月22日づけのホルン製造会社あての支払い書が残されています。

第1楽章 Vivace
4/4拍子。冒頭の動機のリズムは、交響曲第44番ホ短調『悲しみ』と同一です。第2主題は同主短調へ転調し、盛り上がる。展開部では冒頭の動機と、第2主題の短調部分の動機が使用されます。

第2楽章 Poco adagio
ロ短調、6/8拍子、ソナタ形式。弱音器をつけたヴァイオリンによるスタッカートを基調としたシチリアーノ。主題は第1ヴァイオリンと低弦の掛け合い、第2主題はレガートの旋律により対比されます。

第3楽章 Menuet - Trio, Allegretto
主部の後半の階段状のモティーフが第4楽章にて再現されます。トリオはロ短調のコラールとなり、前半のリピートが省略され、一定のリズムが刻みます。静かな雰囲気の中に強弱が鋭く対比されます。

第4楽章 Finale: Presto e scherzando - L'istesso Tempo di Menuet - Tempo I
2/2拍子、ソナタ形式。発想表示の通り、おどけたような主題が単一主題的に展開される。しばしば休止を挟み、効果を強めている。展開部では、嬰ニ長調という臨時記号でのみ処理できる調性で開始されるため、ヴァイオリンに低いfisisが記譜されるが、これはg線の開放弦を指す。再現部の終わりは『告別』の交響曲と同じ手法で半終止が用意され、先述したメヌエットの後半主題が再現される。再び半終止の後、フィナーレの主題の断片が再現されるが、すぐ休止を挟み、ホルンと低弦により主音が保続され、終止のカデンツが準備される。2小節の休止の後、展開部からのリピートが指示されている。

 

さて、かずメーターですが、

第44番 83点

第45番 83点

第46番 82点

このころになると、いわゆるバロックとは完全に離れた曲調になっています。また、曲も長くなってくるので、行きの通勤電車内では3曲でいっぱいいっぱいでした。

編成も大きくなってきて、初期はいろいろな楽器が音の塊になって演奏してきますが、この時代になるとパートがしっかり分かれていて各楽器の担当というのが明確化されています。

個人的には第44番の第3楽章が好きです。

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