交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ショスタコーヴィチ 交響曲第11番

さて、今回はショスタコーヴィチ交響曲第11番についてお話します。

 

交響曲第11番 ト短調『1905年』作品103は、ショスタコーヴィチが作曲した11番目の交響曲です。

作曲者が時代的にも社会的にも激動期を生き抜いた51歳の時の1957年に作曲された標題交響曲です。

各楽章には表題が付けられており、交響曲と言うよりは交響詩的な印象を与えます。栄華を極めたロマノフ王朝に請願するためペテルブルク宮殿に向かって行進する無防備の民衆に対して軍隊が発砲し、千人以上を射殺した、いわゆる「血の日曜日事件」(1905年)を題材としていますが、作曲当時のハンガリー動乱との関連も指摘されます。この交響曲は、映画音楽を数多く手がけたショスタコーヴィチの得意とする標題音楽で、革命歌や自作合唱曲の引用が多いものです。西側では長らくプロパガンダ音楽であるとして評価されていませんでしたが、ソビエト連邦の崩壊後は歴史を描写した作品として扱われるようになり、演奏回数が増加しているそうです。

1958年、ショスタコーヴィチはこの曲でレーニン賞を受賞しています。

曲は4楽章構成であるが、各楽章は切れ目なく演奏され、また緩 - 急 - 緩 - 急の構成となっています。演奏時間は約60分。

第1楽章

Adagio 「宮殿前広場」 4/4拍子 ト短調

冬のペテルブルク王宮前が描かれる緩徐楽章。血に染まる金曜日(新暦では日曜日)の静かな、しかし不気味な予感を秘めた音楽で、帝政ロシアの重圧を思わせます。途中、革命歌「聞いてくれ!」"Слушай"が印象的に引用されます。その後、「囚人」"Арестант"(別題「夜は暗い」"Ночь темна лови минуты")の引用が低弦に出ます。

第2楽章

Allegro 「1月9日」 6/8拍子 ト短調

低弦の蠢きに始まり、民衆の請願行進を描き出します。自作の無伴奏混声合唱曲「革命詩人による10の詩」(1951年、作品88)の第6曲「1月9日」が流用されています(「おぉ、皇帝われらが父よ」"Гой ты, царь наш батюшка" , 「帽子をぬごう」"Обнажите головы")。中盤では、不吉なトランペットの合図とともに皇帝軍の一斉射撃が始まり、宮殿前には虐殺の光景が繰り広げられます。そして突如静まり返ると、チェレスタと弦楽器が民衆の死を映し出します。

セルゲイ・エイゼンシュテインが監督したサイレント映画戦艦ポチョムキン』の一シーンであり、映画史上屈指の名シーンとして知られる『オデッサの階段』において伴奏音楽として使用された著名な楽章です。

第3楽章

Adagio 「永遠の記憶」 4/4拍子 ト短調

犠牲者へのレクイエムというべきアダージョ。革命歌「君は犠牲になった」"Вы жертвою пали..."(日本では「同志は倒れぬ」の題で知られる)をヴィオラが歌います。中間部では革命歌「こんにちは、自由よ」"Здравствуй, свободы вольное слово"が引用され、復讐の呼び声のような力強い讃歌へと発展します。その後音楽は再び弱まり、冒頭のレクイエムへと回帰します。

第4楽章

Allegro non troppo 「警鐘」 2/4拍子 ロ短調 - ト短調

アレグロロンド形式による楽章。金管による決然とした革命歌「圧政者らよ、激怒せよ」"Беснуйтесь, тираны"に始まり、やがて弦楽器による「ワルシャワ労働歌」"Варшавянка"が現れる。不屈の民衆の力を誇示するかのように圧倒的なクライマックスが築かれるが、イングリッシュホルンに悲しげなメロディが奏され、最後はチューブラーベルの乱打が帝政ロシアへの警鐘を示します。この楽章ではゲオルギー・スヴィリードフのオペレッタ「ともしび」から「雷鳴の夜はなぜつらい」も引用されています。

 

さて、かずメーターですが、

第一楽章 83点

第二楽章 87点

第三楽章 87点

第四楽章 89点

ぶっちゃけ、ショスタコーヴィチ後期交響曲の最高傑作だと私は思っています。

映画音楽が好きで、そこからマーラーに移ってきた私にとって、これほどのど真ん中の曲もなかなかありません。それがショスタコーヴィチだなんて。

特にこの曲、主題がものすごく耳残りがいい。ショスタコーヴィチは主題を何度も繰り返す傾向がありますがこの曲では嫌みがない。紛争の混乱を見事に歌いこんでいます。

映画音楽、特に戦争映画やむかしの特撮ものの音楽が好きな方にはフィットする曲だと思います。

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