シューベルト 交響曲第4番
交響曲第4番『悲劇的』(Tragische)は、シューベルトが1816年に作曲した交響曲です。 タイトルの『悲劇的』は後にシューベルト自身が付けた題名です。
1816年の4月27日に完成されていますが、いつ作曲に着手したかについては不明です。しかし、第4楽章の第1主題のスケッチ（とされるもの）が1815年9月に作曲された歌曲『クロンナン』D282と『満足』D362（D501とは別作）の草稿と一緒に発見されたことで、第4番はすでに1815年の9月頃から着手していた可能性があります。
私的な初演はオットー・ハトヴィヒが指揮するアマチュアの私設のオーケストラによって、ハトヴィヒ家のコンサートで行なわれたと考えられていますが、その詳細は不明です。公開初演はシューベルトの死後20年以上を経た1849年11月19日に、ライプツィヒでリチウスの指揮によって行なわれました。
シューベルトは当時19歳で教職にあり、この第4番によって古典派の大作曲家たちと肩を並べる事ができたといえます。ハ短調という調性や『悲劇的』という題名からして、ベートーヴェンを強く意識していた事が窺えます。シューベルトの初期の交響曲でかなり大がかりな構成で、充分な聴き応えの作品です。
自筆の総譜はウィーン楽友協会に所蔵され、現存するスケッチはウィーン市立図書館に保管されています。
第1楽章 Adagio molt - Allegro vivace
序奏付きのソナタ形式(提示部リピート付き)。第1主題は導入部ですでに暗示されており、悲愴感を帯びたものです。第2主題も弦により提示され、転調を繰り返してコデッタに至ります。展開部はシューベルトの交響曲らしく非常に短く、序奏の後変ロ短調で第1主題が繰り返されるシンプルなもので、すぐに再現部に入ります。型通りの再現の後、短いコーダで華々しく終わります。
第2楽章 Andante
ロンド形式(A-B-A-B-A-Coda)。主要主題は4つの即興曲D935作品142の第2曲のものとほぼ同じです。副主題はヘ短調で、第1楽章の第1主題に由来する。最後に第1主題の動機に基づく短めのコーダが続きます。
第3楽章 Menuetto. Allegro vivace
スケルツォ風のメヌエット。トリオは第1楽章の第1主題に基づく。
第4楽章 Allegro
ソナタ形式(提示部リピート付き)。4小節の序奏の後に、第1主題がヴァイオリンで提示されます。第2主題は変ホ長調で、軽快に提示されます。展開部はやはり短めで、型通りの再現部が続きます。
さて、かずメーターですが、
第一楽章 86点
第二楽章 84点
第三楽章 85点
第四楽章 86点
全ての楽章で安定した「いい曲」感で聞ける曲です。ただ「悲劇的」と名付けていますが、印象的には「悲劇的」ではなく、既出のマーラー6番「悲劇的」のような、まさに悲劇って感じではありません。多分聞いている客を楽しませるのが当時の音楽だったので短調でぐいぐい悲劇的するよりは客寄せにはよかったのでしょう。
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