交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

エルガー 交響曲第3番

今回はエルガー未完の交響曲第3番についてお話します。

交響曲第3番は、エルガーが1932年より英国放送協会BBC)により委託され作曲を開始したものの、エルガーの死去に伴い未完に終わった作品です。現在ではアンソニー・ペインが残されたスケッチを元に補筆構成したものが演奏されています。

 

1920年に妻キャロライン・アリスに先立たれて以降、エルガーの創作意欲は極端に後退していましたが、友人であり批評家でもあるジョージ・バーナード・ショーが新しい交響曲を作曲するように勧めました。当初エルガーは渋っていましたが、徐々に作曲に対して前向きになっていきます。一説には女流ヴァイオリニストのヴェラ・ホックマンの存在に刺激を受けたからと言われています。

1932年、ショウの働きによりBBCが正式にエルガーに作品を委託し、作曲に取りかかります。作曲にあたり、ロンドン交響楽団のリーダー(コンサートマスター)のウィリアム・リードを自宅に呼び、自身のピアノ伴奏で彼にヴァイオリンを弾いてもらい構想を進めていきました。しかし1933年9月、エルガーは病に倒れ、作業は中断しました。翌1934年にエルガーは死去し、約130ページのスケッチが残されたまま未完に終わります。

 

スケッチは第1楽章の冒頭17小節など、ごく一部は総譜で書かれているものの、ほとんどがショート・スコアという形で、その上どう繋がるのかさえ判断がおぼつかない状態でした。エルガーはリードに「自分以外にこの曲は理解できないだろうから、未完に終わったらスケッチは燃やしてほしい」と伝えました。しかし、その一方で主治医には「もしかしたら後世の人が私の作品を補筆するかもしれない。もしそうなるなら、ぜひとも素晴らしい作品になることを願っています」との発言も残しており、研究者の間でしばしば議論となります。結局リードはスケッチを燃やすことはなく、遺稿は大英図書館に保存されました。

補筆に向かい急速に動き出すのは、1993年にBBCがワークショップのためにこの交響曲を演奏可能にしてほしいとペインに依頼したことに始まります。すでに1972年頃から個人的にこの曲を研究していたペインは、ただちにこの依頼を承諾し、比較的資料が多く残されていたスケルツォを補筆完成させます。ペインはこの時点では補筆が可能なのはここまでと考えており、エルガーの遺族も学問的試みを超えて作品を完成させることには反対しました。しかし1995年、改めてスケッチを見たペインは、第1楽章のあるスケッチ部分が第1楽章の展開部ではないかと閃き、第1楽章を完成させます。このことに刺激を受けた彼は、全楽章補筆完成への意欲を燃やすようになります。当初はこれに反対した遺族も、2005年にエルガー著作権が切れるといった理由もあり、徐々に態度を軟化させ、完成を依頼するようになります。補筆は1997年に完成し、アンドルー・デイヴィス指揮、BBC交響楽団によって録音が行われ、翌1998年に発売されたCDは大ヒットしました。その後、同演奏者により同年2月15日にロンドンで世界初演されました。

 

第1楽章 Allegro molto maestoso

ソナタ形式ハ短調。第2主題には未完に終わったオラトリオ『最後の審判』のスケッチから(エルガー自身によって)流用されています。

スケッチでは第1主題、第2主題、推移部、展開部(で使われたであろう)の多くの楽想がオーケストラ譜またはピアノ譜の書式で残されています。

 

第2楽章 Scherzo-Allegro

三部形式

劇付属音楽『アーサー王』の第3曲「ウェストミンスターの宴席」から(エルガー自身によって)流用されています。

スケッチではピアノとヴァイオリンの書式で第2楽章ほぼ全てのスケッチが完成しています。

 

第3楽章 Adagio solenne

三部形式

スケッチでは冒頭とコーダにあたる部分、第1主題、第2主題、推移部がピアノスコアで残されています。

 

第4楽章 Allegro

ソナタ形式ハ短調。第2主題は『アーサー王』の第1曲「王とベディヴィア卿」から(エルガー自身によって)流用されています。コーダにあたる部分のスケッチは残されていないため、ペインの創作となっています。最後は第1楽章の主題によるコーダ(交響曲第1、2番で用いられている手法)となり、タムタムと共に静かに終結します。これは、組曲『子供部屋』の「荷馬車の通過」にヒントを得たといいます。

スケッチでは冒頭のファンファーレ、それに付随する躍動的な弦のパッセージ、第1主題、第2主題、推移部、展開部(で使われたであろう)の多くの楽想がオーケストラ譜またはピアノ譜の書式で残されています。また、展開部のスケッチは「王とベディヴィア卿」の中間部と酷似しています。

 

かずメーターでは

第一楽章 82点

第二楽章 83点

第三楽章 79点

第四楽章 81点

なんかエルガーというより現代音楽になっちゃってる感じがして私は違うなぁと思いました。好き嫌いが分かれると思うので聞いて判断してください。

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お勧めのCDです。