交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

エルガー 交響曲第2番

今回はエルガー交響曲第2番についてお話します。

交響曲第2番は、エルガーが1910年から1911年にかけて作曲した交響曲です。第3番は未完に終わったため、完成した交響曲としては最後のものとなりました。イギリス国王エドワード7世に献呈されることになっていましたが、王が1910年5月6日に崩御したため、亡き国王エドワード7世陛下の追悼に捧げられました(Dedicated to the memory of His late Majesty King Edward VII.)。曲自体は追悼よりはエドワード朝(1901年1月22日-1910年5月6日)の叙事詩、回顧といった性格が強いです。

初演は1911年5月24日、ロンドン音楽祭の一環として、エルガー自身の指揮、クイーンズ・ホール管弦楽団によって行われました。同年11月24日にはシンシナティ交響楽団定期演奏会においてレオポルド・ストコフスキー指揮によりアメリカ初演が行われました。

 

第1楽章

アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・ノビレメンテ、ソナタ形式

短い導入に続いてトゥッティにて第1主題が演奏されます。幾分長めの経過句の後にテンポが落ちると第2主題が弦に登場します。第2主題の動機を扱って「静寂な音楽」が弦を中心に演奏されます。再び第2主題が木管で演奏されテンポが元に戻ると、第1主題部経過句の旋律により曲に勢いがつきます。弦が第1主題の動機を扱い金管がせわしない刻みを吹き、高揚してテンポが再び落ちると、「静寂な音楽」の旋律を力強く演奏して頂点を築きます。急激に静まって第1主題の動機を木管と弦が行進曲風に扱うと、提示部を静かに閉じます。この時添えられるハープが幻想的な雰囲気を醸し出します。

展開部の大部分は静かで金管活躍の場面があまりありません。まずは第1主題の動機を弦中心に静かに扱います。続いて静かに、この曲のモットーを弦、木管の順に演奏します。再び第1主題の動機を弱奏すると、第3楽章のトリオ後半をそっくり弦で静かに演奏します。低音弦が力強く演奏されると、ようやく第1主題そのものの展開が始まり、金管活躍の場が与えられます。次第に膨らみ金管がせわしないフレーズを吹き、ファンファーレ風の旋律も吹いて頂点に達すると、第1主題が強烈に再現されて展開部を終えます。

再現部では第1主題、第2主題とも再現されますが、短縮、変形がなされています。コーダは第1主題の動機を扱って大きく発展しクライマックスを築きます。最後は弦が忙しい刻みを行う中、金管が和音を結びます。

 

第2楽章

ラルゲット

A-B-A-B-Aの構成からなる緩徐楽章です。最後のA部分は極めて短いです。弦を中心とした導入部に続いてトランペットとトロンボーンに主要主題が葬送のファンファーレのように現れます。悲しげな経過句を経て主要主題の動機が行進曲風に演奏されます。木管が明るい旋律を吹くが、これは短いです。副主題部(B部分)への少し長めの推移句が演奏され一旦膨らみますが、すぐに静まります。突然、活気ある導入に導かれて、副主題がファンファーレ風に吹かれます。この主題は繰り返されて頂点を築き静まります。

副主題部への推移句の前に現れた明るい旋律が木管で再び吹かれます。今度は弦に受継がれるなどして展開的に扱われます。再び主要主題の動機が行進曲風に演奏されますが、今度は拡張されていて悲劇的です。副主題部への推移句も再現されますが、今度は短縮されています。副主題部も再現され、クライマックスを築くと曲は静まります。副主題部への推移句の前に現れた明るい旋律がモットー主題と絡みながら再現されます。主要主題が金管で弱音で演奏され、冒頭の導入部の旋律が戻ります。最後は静かに和音を結んで楽章を閉じます。

 

第3楽章

ロンド、プレスト、コーダ付きスケルツォ

作者はロンドとしていますが、実態はコーダ付きのスケルツォに近いです。導入部をA、スケルツォ主題部をB、トリオをC、第1楽章からの流用部分をDとすると、全体の構成はA-B-A-C-A-D-B-A(コーダ)となりAの役割が大きいです。また、B部分の比率は比較的小さいものです。つまり、3部形式と捉えるよりはロンド形式と見た方が正しいのかも知れません。

軽やかな木管の導入に導かれて弦にスケルツォ主題が現れます。主題は歌謡風に歌われたりするうちに導入時の旋律が戻ります。この旋律が膨らむと、曲は突然トリオに入ります。 トリオ主題は木管で歌われ、弦がこれに応答します。トリオ主題はBのスケルツォ主題から成立っています。冒頭の導入の旋律が木管に現れるますが、スケルツォにはすぐに戻らず、第1楽章展開部で弦により静かに演奏された旋律が現れます。今度は力強く演奏され膨れ上がって頂点に達すると、シンバル等の打楽器群が鳴り急速に萎みます。するとスケルツォ主題が戻り、第3部に相当する部分が始まります。 第3部に相当する部分は第1部に相当する部分がほぼ再現されますが、ピッコロの活躍が印象的です。この部分が終わるとコーダに入ります。コーダは冒頭の導入の旋律を扱って、激しく展開され高揚します。弦による長い持続音が鳴り、打楽器群が和音を結んで楽章を閉じます。

 

第4楽章

モデラート・エ・マエストーソ、ソナタ形式

エルガーらしい荘厳な主題で始まりますが、終わりはエレジー風のコーダで第1楽章の冒頭の主題と第4楽章の冒頭の主題とが回想されると曲は次第に弱まり静寂な終わりを迎えます。

 

かずメーターですが、

第一楽章 87点

第二楽章 86点

第三楽章 83点

第四楽章 85点

私は第1番の方が好きなんです。好んで聞いていないのが要因なのかもしれません。

 

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お勧めのCDです。