交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

チャイコフスキー 交響曲第4番

今回はチャイコフスキー交響曲第4番についてお話します。

交響曲第4番は、チャイコフスキーが1877年から翌1878年にかけて作曲した交響曲です。

1877年にヴェネツィアを訪れたチャイコフスキーは、当地の風光明媚なスキャヴォーニ河岸にあるホテル・ロンドラ・パレス(当時はホテル・ボー・リヴァージュという名であった)にてこの曲を書き上げました。ホテルの壁面には「ロシアの偉大な作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーが、1877年12月2日から16日まで滞在し、ここで4番目の交響曲を作曲した」と彫られた碑文が掲げられています。

この時期、メック夫人がパトロンになったことにより、経済的な余裕が生まれました。これによってチャイコフスキーは作曲に専念できるようになり、これが本作のような大作を創作する下地となりました。このことに対する感謝の意を表して、本作はメック夫人に捧げられました。

なお、1878年3月1日づけ(ロシア暦、同2月17日付)の有名な手紙の中で、チャイコフスキーはメック夫人にあてて、この交響曲のプログラムに関する説明を試みています。この手紙は、交響曲第4番についてのみならず、彼の創作全般についての示唆を与えてくれる、貴重なものとなっています。

初演は1878年2月10日(旧暦。新暦では2月22日)サンクトペテルブルクにて、ニコライ・ルビンシテインの指揮により行われました。

4つの楽章による古典的な構成ですが、第1楽章が比較的長いです。演奏時間は約42分。

 

第1楽章 Andante sostenuto - Moderato con anima - Moderato assai, quasi Andante - Allegro vivo

ソナタ形式とは言っても同時代のブラームス交響曲と比べれば、かなり自由な構成をとっています。

曲頭のホルンとファゴットのファンファーレのモチーフは全曲の主想旋律となります。このファンファーレは運命のファンファーレとも呼ばれ、本楽章の展開部以降にしばしば登場します。楽章終盤では立て続けに登場し、楽章終結に向けて大いに曲の緊迫感を高めていきます。また第4楽章の終盤にもそっくり再来して曲の雰囲気を一転させることになります。

序奏部のあとは、暗く悲劇的な第1主題が弦で提示され提示部が始まります。第1主題の確保は木管楽器を中心とした楽節で行われます。ティンパニーが登場すると第1主題の提示・確保部分は終了し、続いて第1主題による経過部分に入ります。経過部は第1主題の断片を低音弦楽器、木管楽器が繰り返し、徐々に盛り上がっていきます。やがてオーケストラのトゥッティで第1主題が奏されて最初のクライマックスを築いていきます。続いて木管楽器による少しおどけた感じの第2主題が現れます。この主題は弦楽器に引き継がれて安定した感じとなります。さらに推移主題が弦に現れて大きく発展し、独特のリズムを持ったコデッタになだれ込み、明るく大きなクライマックスを築きます。ですが低音弦楽器が奏するくらい音色が直ぐに優勢になり、冒頭のファンファーレが登場し、そのまま展開部になだれ込みます。展開部はまず第1主題により進み展開されます。やがてファンファーレの旋律も加わると、ファンファーレ旋律と第1主題の展開より、曲は激しいクライマックスを築いていきます。その頂点で再現部へ移り、第1主題がトゥッティで演奏され静まります。そのまま第2主題の再現も続き、推移主題は発展部分が省略されそのままコデッタになだれ込みます。やがてファンファーレが三度目の登場となるとコーダが始まります。続いて子守唄風の短い楽節を経て、行進曲調に変形された第1主題とファンファーレ旋律によって最後の大きなクライマックスを築いていきます。この時、次々と奏されるファンファーレ旋律は圧巻です。最後は第1主題をトゥッティで激しく強奏し、ヘ短調の長い和音で終わります。

演奏時間は17分半から20分程度。

 

第2楽章 Andantino in modo di canzona - Più mosso

直訳すれば、「歌の様式によるアンダンティーノ」。三部形式ではあります、モーツァルトのようなシンメトリーが整った構造にはなっていません。また、第1部は繰り返されるが、反復記号による単純な繰り返しではなく楽想が異なっています。さらに、第1部と第3部が大きく異なる楽想となっています。

オーボエによって奏される主要主題はほの暗く重々しいです。呼応となる楽節は弦楽器を中心に演奏されますが、これもまた重々しいです。オーボエによって奏された主要主題は、繰り返し部分では弦楽器中心に演奏されます。呼応の楽節の繰り返しが終わると、曲は第2部へ入ります。第2部は比較的明るい楽想となります。第2部の主題的な旋律は木管楽器中心で提示され、低音弦楽器、ピッコロ、高音弦楽器と引き継がれ、小さなクライマックスを築くと、短い導入旋律の後に第3部へと入ります。第3部では主要主題は弦楽器によって再現されますが、この時、フルートのオブリガート風の旋律が絡んできます。呼応部はほぼそのまま再現されますが、その最後ではデクレッシエンドし、主要主題の断片との掛け合いとなります。フルートによるトリルを経て主要主題が長調で密かに演奏されますが、低音弦楽器の長いフレーズが直ちに穏やかな雰囲気を打ち消します。ファゴットがヴァイオリンをオブリガート風に伴って主要主題を静かに演奏し、木管楽器が吹く主要主題の断片とホルンの和音の掛け合いの中、最後は木管楽器が主要主題の断片のみを繰り返し曲は静かに閉じます。

演奏時間は9分から11分程度。

 

第3楽章 Scherzo: Pizzicato ostinato. Allegro - Meno mosso

この楽章では弦楽器は終始ピチカートで演奏されます。

スケルツォ本体は単一の主題からなっており、ソナタ形式を形成するものではありません。主部は弦楽器のピチカート主題のみによって構成されます。主題の確保がされた後は短い展開的な楽節が続き消えるように主部を終えます。ただちに木管楽器による導入を経て中間部(トリオ)が始まります。トリオではピッコロを中心にした木管楽器が活躍する主題に続き、弱音の金管楽器による行進曲が現れます。そして、この金管の行進曲に木管楽器が絡み合い短い展開を行います。徐々にスケルツォに戻る準備がなされスケルツォ主部にダカーポします。続いてコーダに移りピチカートと木管楽器の絡み合いを行いつつ、小さなクライマックスが築かれます。最後はトリオの動機を交えて、遠ざかるように消えていきます。

演奏時間は5分から6分程度。

 

第4楽章 Finale: Allegro con fuoco-Coda

チャイコフスキーがフォン・メック夫人に宛てた書簡では、「この世は暗黒だけではなく、この楽章で示されているように多くの素朴な人間の喜びがある。たとえ我々は馴染めずとも、その喜びの存在を認め、悲しみを克服するために生き続けることができる」としています。

実演では消えるように終わる第3楽章のあと、休みなく続けて演奏されることがあります。この楽章の冒頭Aの部分は、突然トゥッティで開始されるため、ハイドンの驚愕のような効果を狙う指揮者もいます。本当、後半いきなり目を覚まさせられます(笑)

この楽章の第2副主題(C)はロシア民謡『白樺は野に立てり(ロシア語版)』によります。

演奏時間は8分から10分程度。

 

かずメーターでは

第一楽章 88点

第二楽章 83点

第三楽章 81点

第四楽章 82点

悪くはないのですが、やはり纏まりが無いように感じてしまいます。しかし、かずメーターですべて80点以上なのでおすすめできる曲です。

www.youtube.com