交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

チャイコフスキー 交響曲第3番

今回はチャイコフスキー交響曲第3番についてお話します。

 

有名な『ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23』を書き上げてから数ヶ月経過した1875年6月17日に作曲を開始し、同年7月2日にはほぼ書き上げており、作曲開始から約2ヶ月経った同年8月13日にはオーケストレーションまで完了させています。当時、チャイコフスキーモスクワ音楽院に於いて教鞭を執っており、そこで教えていた学生の一人で才能を高く評価していたウラジーミル・シロフスキーと親友関係を築き上げていました。そのためか、1870年代、チャイコフスキーウクライナのウーソヴォにあったシロフスキーの住まいをしばしば訪れており、当交響曲の作曲を開始した時にもウーソヴォに滞在していました。そして当交響曲はシロフスキーに献呈されています。

オーケストレーションを終えてから約3ヶ月経過した1875年11月19日、モスクワで開催された第1回ロシア音楽協会演奏会に於いて、ニコライ・ルビンシテインの指揮により初演され、好評を博しました。

なお、『ピアノ協奏曲第1番作品23』の他、オーケストレーション完了と時期をほぼ同じくしてバレエ音楽白鳥の湖』の作曲に着手して翌1876年4月に完成させるなど、当楽曲が書き上げられた頃はチャイコフスキーにとって傑作を次々に生み出していた時期にあたっており、そのことを背景にして当楽曲は音楽的に充実したものとなっています。にもかかわらず、演奏される機会はチャイコフスキー交響曲の中では比較的少ないものとなっています。

チャイコフスキーが遺した完成された番号付交響曲全6曲の中で唯一、長調で曲が始まっているという点だけでなく、2つのスケルツォ楽章を持つ全5楽章構成という点も特筆されています。また、『交響曲第1番”冬の日の幻想”』や『交響曲第2番”小ロシア”』に於いて色濃く見受けられるロシア5人組の影響からの脱却を図っていることも特徴の一つとなっているそうです。なお、当交響曲に『ポーランド』という愛称が付けられていますが、これは作曲家自身が付したものでは無く、終楽章(第5楽章)の主題にポーランド特有の舞曲である「ポラッカ(ポロネーズ)」のリズムが用いられていることから、イギリスで付与されたものです。

交響曲の第2~5楽章については、20世紀アメリカを代表する振付家ジョージ・バランシンが手がけた全3幕のバレエ作品『ジュエルズ(英語版)』の最終幕「ダイヤモンド」において使用されています。

 

第1楽章 Introduzione e Allegro: Moderato assai (Tempo di marcia funebre) - Allegro Billante

序奏とアレグロモデラート・アッサイ(葬送行進曲のテンポで) - アレグロ・ブリランテ

序奏付きソナタ形式。表記通り、"葬送行進曲" の長めの序奏で開始されます。低弦のピッツィカートの響きにつれて高弦が序奏主題を演奏します。これは管楽器に受け渡されて発展し、速度を引き締めてニ長調の主部へ入ります。第1主題はシューマンを思わせる明るい楽想で、経過部を経て全合奏で再び提示されます。第2主題はロ短調オーボエにより優美に提示されます。木管に引き継がれて発展し、小結尾は再び明るく賑やかなものです。この部分は交響曲第5番の同様の部分を彷彿させます。展開部は両主題を十分に使い、クライマックスを築きます。再現部は型どおりのもので、第2主題はホ短調で再現されます。小結尾の後、やはり賑やかなコーダに入り、たたみ掛けるように楽章は閉じられます。

 

第2楽章 Alla tedesca: Allegro moderato e semplice

アッラ・テデスカ:アレグロモデラート・エ・センプリーチェ

複合3部形式。Alla tedesca とは「ドイツ風」の意味で、ワルツまたはその原型のレントラーの様式を指します。主部だけで3部形式の構造を取り、主要主題はレントラーによるものです。副主題はワルツ風ですが、この部分は1891年に『ハムレット』の付随音楽(作品67b)の第2幕への間奏曲として転用されました。中間部は小刻みな楽想が主となります。コーダは主部の副主題で始まり、断片的に主要主題が奏されて曲は閉じられます。

 

第3楽章 Andante elegiaco

アンダンテ・エレジアーコ

自由なソナタ形式。牧歌的な第1主題がニ短調なのに対し、第2主題は変ロ長調で幅広くうたわれます。展開部がほとんどなく、経過的に通過してすぐに再現部となります。再現部は両主題が再現されますが、第1主題は非常に短いのに対し、第2主題はよりドラマチックになっています。コーダは第1主題の動機が断片的に現れて始まります。

 

第4楽章 Scherzo: Allegro vivo

スケルツォアレグロ・ヴィーヴォ

3部形式。通常のスケルツォと違い4分の2拍子です。主要主題は軽やかで舞うような楽想で、その終わりにトロンボーンによる平易で長いソロがあります。中間部(トリオ)は同じテンポの行進曲調で、1872年にピョートル大帝生誕200年を記念してモスクワで開催された全ロシア工業技術博覧会のために作曲したカンタータから借用した楽想が用いられています。その後、様々な工夫がきかされた主部が復帰し、コーダではトリオが再び現れます。

 

第5楽章 Finale: Allegro con fuoco (Tempo di polacca) - Presto

フィナーレ:アレグロ・コン・フオーコ(テンポ・ディ・ポラッカ) ― プレスト

ロンド形式(A-B-A-C-A-A'(フーガ)-Coda)。この楽章はポーランドの舞曲であるポロネーズのリズムによって特徴づけられます。このことがこの曲の通称の由来となっています。力強い主要主題Aで開始されます。第1副主題Bはイ長調でコラール風のもので、美しく荘重です。主要主題が復帰した後、寂しげな第2副主題Cがロ短調で控えめに登場します。再び主要主題が復帰すると、そのまま主要主題によるフーガの部分に入ります。この長大なフーガが終わると曲調が緩やかに変わり、感動的で壮大なコーダになだれ込みます。第1副主題が全合奏で演奏され、主要主題も取り扱いながら全曲のクライマックスを形成し、テンポがプレストに変わると追い込むように華々しく曲は終結します。

 

かずメーターでは

第一楽章 89点

第二楽章 84点

第三楽章 83点

第四楽章 82点

第五楽章 85点

この時期のチャイコフスキーって絶好調だと思うんですけど、個人的にはくどくなっている感じがするんです。なので好き嫌いでいえば第2番の方が好きです。しかし決して悪い曲ではありませんので一度はお聞きください。第五楽章の盛り上がりもいいですよ。

 

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