交響曲、大好き!

交響曲といっても知られていないものも多いと思います。 皆さんが聞きなれた/聞いたことがない交響曲を紹介していければと思います。

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

今回はドヴォルザークの名曲、第9番についてお話します。

私のクラシック音楽との出会いは高校の音楽の時間でした。

中学時代は音楽の先生と仲悪くて授業も満足に聞かず、成績も下のほうでした。

高校に入って出会った音楽の先生が音楽も勉強すればもっと楽しいものになることを教えてくれました。ギターもこのころから弾き初めて、クラシック音楽もこのころから聞き始めました。たぶんその時一番最初に聞いたのがドヴォルザーク交響曲第9番だったと思います。自宅からレコードを持っていき、昼休みに視聴覚室でレコードを聴きながら昼食を食べていました。交響曲好きのきっかけを作てくれたのが今日ご紹介する第9番です。

音楽の授業ではスコア譜を読む勉強もあったため今の趣味につながっています。

 

ドヴォルザークは1892年、ニューヨークにあるナショナル・コンサーヴァトリー・オブ・ミュージック・オブ・アメリカ(ナショナル音楽院)の院長に招かれ、1895年4月までその職にありました。この3年間の在米中に、彼の後期の重要な作品が少なからず書かれています。作品95から106までがそれです。

この作品は弦楽四重奏曲第12番『アメリカ』、チェロ協奏曲と並んで、ドヴォルザークアメリカ時代を代表する作品です(いい曲ですよ)。ドヴォルザークのほかの作品と比べても際立って親しみやすさにあふれるこの作品は、旋律が歌に編曲されたり、BGMとしてよく用いられたりと、クラシック音楽有数の人気曲となっています。オーケストラの演奏会で最も頻繁に演奏されるレパートリーの一つでもあり、日本においてはベートーヴェン交響曲第5番『運命』、シューベルト交響曲第7(8)番『未完成』と並んで「3大交響曲」と呼ばれることもあります。

新世界より』という副題は、新世界アメリカから故郷ボヘミアへ向けてのメッセージ、といった意味があります。全般的にはボヘミアの音楽の語法により、これをブラームスの作品の研究や第7・第8交響曲の作曲によって培われた西欧式の古典的交響曲のスタイルに昇華させています。

1893年12月15日に楽譜は出版されました。初演は1893年12月16日、ニューヨークのカーネギー・ホールにて、アントン・ザイドル指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック協会管弦楽団によるものでした。初演は大成功だったと伝えられています。

日本初演1920年12月29日、東京の帝国劇場において、山田耕筰指揮、日本楽劇協会によって行われました。

 

第1楽章 Adagio - Allegro molto

序奏付きソナタ形式(提示部の反復指定あり)。 序奏は弦の旋律によって始まります。クラリネットやホルンの信号的な動機に続き、木管楽器に冒頭の旋律が戻ってくると、突如として荒々しく低弦とティンパニクラリネットが咆哮します。盛り上がった後一旦静まり、アレグロモルトの主部に入ります。第1主題は10度にわたるホ短調の分散和音を駆け上がる動機と、これに木管楽器が応える動機からなっています。第1主題前半の動機はその後の楽章にも度々現れ、全曲の統一感を出す役割を果たしています。弦が一気に盛り上げ、トランペットのファンファーレと共にこの主題が確保されます。次いでフルートとオーボエによるト短調の第2主題が提示されます。これは半音の導音を伴わない全音での自然的短音階であり、黒人霊歌を思わせる旋律となっています。続いてフルートにト長調で歌謡的な小結尾主題が出ます(こちらを展開部や後の楽章での再現、調性等の観点から、第2主題と捉える解釈もあります)。これは黒人霊歌『静かに揺れよ、幌馬車(Swing low Sweet Chariot)』に似ている、という指摘もあるが、これに対しては、アメリカ民謡借用説の例にひかれ、全体もそのように書かれているような印象が広まってしまったものであり、そのように解釈するのは不適切であるという見解もあります。また、この主題は提示部と再現部で一か所だけ付点音符の有無によるリズムの違いがあり、指揮者の解釈によって処理が異なる場合があります。この主題が弦に受け継がれて高潮し、提示部が終わります。提示部は反復指定があるが、ドヴォルザークの他の交響曲同様、あまり繰り返されません。展開部では第1主題と小結尾主題の2つの主題が巧みに処理されます。再現部では第1主題が途中で遮られ、その後の主題は半音上がった調で再現されます。調の変化で主題をより劇的にする巧みな主題操作が見て取れます。小結尾の主題に第1主題が戦闘的に加わるとコーダに入ります。幾分不協和なクライマックスを迎えた後、トランペットのファンファーレに続き、短調のまま強烈なトゥッティで楽章を閉じます。

演奏時間は10 - 13分程度、提示部の繰り返しを省くと8 - 10分程度。

 

第2楽章 Largo

複合三部形式変ニ長調は作品全体の主調であるホ短調からは遠隔調に相当します。このため、この楽章は前後の楽章との対比から独特の浮遊感があります。イングリッシュホルンによる主部の主題は非常に有名で、ドヴォルザークの死後にさまざまな歌詞をつけて『家路』『遠き山に日は落ちて』などの愛唱歌に編曲されました。中間部は同主調異名同音で)の嬰ハ短調に転じます。クライマックスでは第1楽章の第1主題の動機が加わります。冒頭の主題が再現された後、静かなコーダが続いて終わります。よくインディアン民謡からの借用と誤解されもしましたが、これは紛れも無いドヴォルザークのオリジナルです。

演奏時間は10 - 13分程度。

 

第3楽章 Scherzo. Molto vivace

複合三部形式。ABACABA-Codaの形で2つのトリオを持ちます。1つ目のトリオは同主調ホ長調で、民謡風のものです。2つ目のトリオに入る直前には、転調のために第1楽章第1主題の動機を利用した経過句があります。2つ目のトリオはハ長調で、西欧風の主題である。この楽章のみトライアングルが使用されます。コーダにおいても第1楽章第1主題が3/4拍子に形を変えて現れます。コーダでは、第1楽章から2つの主題が回想されます。

演奏時間は7 - 9分程度。

 

第4楽章 Allegro con fuoco

序奏付きソナタ形式。 大きく2つの主題を持つが、それまでの楽章で扱われてきた主題も姿を見せる、統括的なフィナーレ。緊迫した半音階の序奏が一気に盛り上がり、ホルンとトランペットによる第1主題を導きます。第2主題が現れる前に激烈な経過部が有ります。この経過部の後半(演奏開始から1分55秒後ほど)に、全曲を通じてただ1度だけのシンバルが打たれます(弱音なので目立たない)が、これについてはまだ謎が多いそうです。第2主題は、クラリネット(A管)とフルート、およびチェロを主体にした柔和な旋律です。そして、ヴァイオリンなどが加わると盛り上がって小結尾になります。第1主題の動機も加えたあと静まり、展開部に入ります。小結尾で現れたフルートのトリルが多い動機に続き、第1主題の断片と経過部主題が続きます。第2楽章の主題が印象的に回想され、第1楽章第1主題の回想に続いて、この楽章の第1主題が激烈に再現されます。静まった後第2主題が再現し、気分が落ち着いたものとなります。それまでの主題の回想はなおも続き、今度は第1楽章小結尾主題と第1主題に続いて、フィナーレに向かっていきます。第1主題と経過部主題が同時に再現し、しばらく展開の後に第2楽章の序奏が壮大に回想され、静まった後第2楽章の主題と第3楽章の主題が同時に再現されます。そしてコーダに入り、弦が壮大に第1主題が演奏されると、管楽器は第1楽章第1主題と第2楽章の主題を不協和に奏して妨げますが、ホ長調に転じてこれを振り切り、テンポを上げて感動的に終結します。最後の1音はフェルマータの和音をディミヌエンドしながら出すというもので、指揮者ストコフスキーはこの部分を「新大陸に血のように赤い夕日が沈む」と評しました。

演奏時間は10 - 12分程度。

 

さて、かずメーターですが

第一楽章 95点

第二楽章 89点

第三楽章 90点

第四楽章 92点

いい曲ですね。ドヴォルザークの到達した交響曲の頂点の曲といえると思います。

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お勧めのCDです。