ハイドン 交響曲第75~77番
さて、今回はハイドンの交響曲第75~77番についてお話します。
最初に、第75番。
交響曲第75番ニ長調 Hob.I:75は、1779年ごろに作曲されました。
第1楽章 Grave - Presto
荘重な前奏に続いて、軽快な第1主題が出現します。展開部は短調ではじまり、かなり劇的な展開を見せます。再現部は提示部とはまるで異なっています。
第2楽章 Andante con variazioni
ト長調、主題と4つの変奏。ランドンによると、一種の賛歌を旋律に使っています。弱音器をつけたヴァイオリンによって主題と第1変奏が演奏されます。第2変奏ではじめて管楽器が登場してリズムを刻みます。第3変奏はヴァイオリン2本とチェロによるコンチェルティーノを持ち、とくに独奏チェロが大活躍します。第4変奏は再び全奏になり、静かに曲を終えます。
第3楽章 Menuetto (Allegretto) - Trio
第4楽章 Finale (Vivace)
ロンド形式の軽快な音楽。
次は、第76番
交響曲第76番変ホ長調 Hob.I:76は、1782年に作曲した交響曲です。
当時、ハイドンはイギリスで高い名声を誇っていました。ハイドンをロンドンに招こうとする交渉は1780年代はじめにもあり、ハイドンはロンドンでの演奏旅行のために1782年に76番から78番までの3曲の交響曲を作曲しましたが、このときのロンドン行きは実現しませんでした。このため、この3曲は「イギリス交響曲」とも呼ばれます。後のロンドン交響曲にくらべるとずっと小規模です。
演奏旅行が中止された後、1783年にハイドンはパリの楽譜出版者であるボワイエ(Charles-Georges Boyer)にこの3曲を売り、1784年にはロンドンのフォースターにも売りました。
1976年にはロバート・シンプソンが自身の交響曲4番変ホ長調でこの曲を引用しました。
第1楽章 Allegro
第2楽章 Adagio, ma non troppo
第3楽章 Menuetto & Trio: Allegretto
第4楽章 Finale: Allegro, ma non troppo
もっとも特徴があるのは変ロ長調の第2楽章で、「cantabile」と書かれた弦楽のみによる穏やかな旋律が3回にわたって変奏曲風に演奏され(最後の1回は管楽器も加わり、カデンツァ風の部分を持つ)、その中間に短調の曲が2つはさまるロンド形式となっています。最初の短調の部分は管楽器を主体とした静謐な音楽、第2の短調の部分は全奏による非常に激しい曲になっています。
最後に、第77番。
交響曲第77番変ロ長調 Hob.I:77は、交響曲第76番と同様、イギリス旅行のために1782年に作曲された3曲の交響曲のひとつです。
第1楽章 Vivace
ソナタ形式。ハイドンの交響曲では第2主題がはっきりしないことが多いですが、この曲には華やかな第1主題と、対照的に穏やかな第2主題が登場します。展開部では第1主題が激しく展開したのち、全休止をはさんで第2主題が展開されます。再現部では第2主題が出たあと、提示部とは異なる進行をたどります。
第2楽章 Andante sostenuto
ヘ長調。冒頭、弱音器をつけたヴァイオリンで優雅な旋律が演奏され、チェロが弓奏、コントラバスがピッツィカートで伴奏を演奏します。
第3楽章 Menuetto (Allegro) - Trio
にぎやかなメヌエットは、途中で変なところにアクセントが置かれてころびそうになります。ハイドンの他のメヌエットにもしばしば見られますが、トリオ部分はレントラー風の素朴な曲になっています。
第4楽章 Finale: Allegro spiritoso
ロンドソナタ形式によるフィナーレで、単純な旋律に始まりますが、短い展開部で対位法的に発展します。ハイドンは後に交響曲第103番などで終楽章にロンドソナタ形式を多用しています。
さて、かずメーターですが
第75番 80点
第76番 79点
第77番 82点
今回は、全体的に聞いていて発揚してくるような曲はなかったかなぁ。第77番は途中楽しい旋律もありましたが、聞く人によっては平凡と感じてしまう内容です。ギリお勧めの線の曲だったと感じます。